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人のために祈りを捧げる優しさと尊さ


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秋深し。色とりどりに染まった山を眺めていると、その色が一枚一枚の木の葉であることをつい忘れてしまいます。はらはらと風に舞い散る木の葉は哀愁を帯び、秋風の冷たさとともに、もの悲しさを感じさせます。

O・ヘンリーの短編「最後の一葉」。病窓から見える煉瓦の壁を這うツタの、わずかに残った葉の数を数えながら、重病の若い女性が「あの最後の一枚が散るとき、私も死ぬ」と言う。ところが、嵐の中でも落ちない最後の一葉に、女性は生きる希望を得て元気を取り戻す。それは実は、階下の老画家が一晩中、冷たい嵐に打たれながら壁に描いた葉だった。それがもとで、その老画家は帰らぬ人となる 。

老画家は、何を祈って一晩中、壁に向かったのでしょう。自分の命を懸けて人のために祈りを捧げる。これほどの人間の優しさがあるでしょうか。

祈りの尊さを感じる秋です。世界中の戦争や災害などで苦しむ人々に、幸多からんことを祈ります。

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