初夏の思い出 – おやさとスケッチ
1年前のいまごろ、修養科に入っていました。クルマでの生活に慣れきった身体にとって、3カ月間、詰所から修養科までの往復路を歩き続けたことや、ひのきしんで身体を動かしたことは、大きな変化でした。
入浴後に体重を計ると、体重計の目盛りが面白いくらいに少しずつ減っていき、お腹も引っ込んでくるのが実感できました。
雨が降れば長靴を履いて、炎天下では帽子をかぶって、季節の移り変わりを肌身に感じながら、目にするものすべてを楽しんで歩いていました。朝の神殿掃除へ向かう真っ暗な道でホタルを見つけたり、神殿の屋根に向かって流れる星を目にしたりした感激は忘れられません。
行きがけは詰所の人たちと、帰りは同じクラスの人たちと語り合った道中は、まるで学生時代に戻ったようで、とても充実した時間でした。
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毎日、炊事本部の食事にお世話になりました。これまでも学生のころや勤務先で食べてきたので、すっかりおなじみの味ですが、いつも何が出てくるのか楽しみでした。
詰所では、食堂ひのきしんの方や教養掛の先生が、修養科生のために、あれこれ食事に工夫を凝らしてくださいました。多くの来訪者が差し入れてくださる心づかいもありがたく、食べることは、本当に多くの方々のおかげがあってこそと身にしみました。
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疲れ知らずの僕でしたが、一度だけ、三日連続の本部神殿のトイレ掃除に当たった最終日に体調を崩しました。けれど周囲の方の温かい支えで、休まずひのきしんに勤しむことができました。
その日、詰所の修養科生に初めておさづけを取り次いでもらったことがとてもうれしく、それをきっかけに自分も別の人におさづけを取り次がせてもらうことができました。身上から気づかされることがあると実感しました。
修養生活の間、人のたすかりを願っておさづけを取り次ぎ、神殿へ足を運ぶ仲間たちの姿を何度も目にしました。その姿はいまも忘れがたく、所用などで天理へ行く機会があると、神殿へ自然と足が向くようになりました。
これまで何度も回廊拭きのひのきしんをしてきましたが、修養科での集中力は、自分でも驚くほどでした
小学生のとき、ここにあるプールで泳いでいました。たしか、渡り廊下で着替えていたような……。睡蓮の下で、池の鯉が時々はねていました
朝昼晩、その日に食べたメニューを思い出すことは、かなりの脳トレにもなりました
西薗和泉 (にしぞの・いずみ) 画家
1960年、天理市生まれ。84年、京都市立芸術大学油画科卒業。2021年まで天理中学校美術教諭を務めた。『すきっと』(道友社刊)で「毎日がスケッチ日和」を連載中。勢白分教会ようぼく。
季節の絵てがみ
梅雨の日も楽しめるものがたくさんあります。
絵てがみプレゼント
西薗さん描き下ろしの絵てがみを、抽選で3人の方にプレゼントします(写真はサンプル)。ご希望の方は、ハガキまたはEメールで「6月22日号『おやさとスケッチ』絵てがみ希望」と明記のうえ、住所・氏名・年齢・電話番号を書き添えて下記まで。紙面の感想やご意見も併せてお聞かせください。今号の締め切りは7月1日(消印有効)。なお、当選者の発表は発送をもって代えさせていただきます。
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天理郵便局私書箱30号
天理時報「おやさとスケッチ」係
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