オリンピックの夏がやって来る – 陽のあたる方へ3
2024・7/3号を見る
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いまだ記憶に新しい東京オリンピックから、はや3年。7月26日から17日間の日程でパリオリンピックが開催されます。東京五輪では、日本勢は金27個を含む過去最多の58個のメダルを獲得し、たくさんの感動をもたらしました。新型コロナの影響でトレーニングの制限や、開催の1年延期など、ベストの状況で競技に参加できなかった選手も多かったことでしょう。それでも、東京五輪は結果を超える感動を与えてくれました。
そして今夏、日本勢は柔道や体操、競泳など多くの競技でメダルが期待されています。
パリ大会では会期中、パリ市内を走行するバスはすべて電気自動車(EV)、選手村は低炭素で環境に配慮したデザイン、さらに100%太陽光による再生可能エネルギーの使用、ペットボトル飲料の販売禁止など、地球温暖化やプラスチックごみ問題などの環境問題に配慮した大会運営を目指す、とされています。
オリンピックと地球温暖化に、どんな関係があるのかと思われるかもしれません。実は大変深刻な予測が発表されているのです。2016年に医学誌『ランセット』に掲載された論文によると、地球温暖化の影響で70年後には北半球の大半の都市(五輪開催に必要な規模とされる人口60万人以上の都市が対象)が夏季五輪の開催地に適さなくなり、西欧以外の北半球で夏季五輪の開催に十分な涼しさが期待できる都市は、2085年には8都市に減少する、とされています。また2022年に発表された別の研究報告によると、冬季オリンピックはさらに深刻で、過去の冬季五輪開催都市の中で再開催できるのは札幌のみだとか。
オリンピックの精神は「いかなる差別をも伴うことなく、友情、連帯、フェアプレーの精神をもって相互に理解しあう」とされています。
『稿本天理教教祖伝逸話篇』に「世界は、この葡萄のようになあ、皆、丸い心で、つながり合うて行くのやで」(135「皆丸い心で」)とあります。
パリ大会の成功を祈るとともに、将来も各地で感動のオリンピックが開催されるように、忍び寄る温暖化を抑止するために、世界や次の世代のために、私たちは日々の生活の中で何ができるのかを考え、行動したいものです。
乾 直樹(京都大学大学院特定教授・大阪分教会正純布教所長後継者)