おやのことば・おやのこころ(2022年7月27日号)
ずつない事はふし、ふしから芽を吹く。やれふしや/\、楽しみやと、大き心を持ってくれ。
「おさしづ」明治27年3月5日
いまから100年余り前、大正7年に大流行したスペイン風邪によって日本国内で45万人が亡くなられたそうです。
筆者の教会の信者さんで、20代の青年もスペイン風邪に罹り、もう危ないというので、当時会長であった筆者の曽祖父がおたすけに参りました。大変熱心な青年でしたが、家族皆が熱心というわけではありませんでした。
会長は、おさづけを取り次ぐ前に、「家族皆を三宝に乗せて神様にお供えしよう」と申しました。家業をやめて道一条になるということです。背に腹は代えられず、皆がその心を定めて、おさづけを取り次ぎました。取り次いだ後、会長は「これでもうたすかった、お祝いをさせていただくから、酒の支度をしておくれ」と言って、杯を交わしたそうです。
もし筆者が会長の立場ならば、一刻も早くその場を去りたかったでしょう。感染が怖いからです。そこに留まらせたのは、おたすけをする者の、心配を断ちきった覚悟だったかもしれません。
青年は不思議なご守護を頂き、1年余り後の大正9年、青年を初代会長として教会が設立されました。それから100年。孫に当たる若い会長いわく「うちはスペイン風邪のおかげで教会になったんです。有り難いことです。このコロナの事情も、きっと後から良かったということになりますよ。節から芽が出るんです」と前向きです。
長引くコロナ禍でふさいでいた気持ちが、「そうや、そうや、その通りや」と元気をもらいました。
(橋本)