「世界選手権」飛込 日本勢初の銀 – 東京の金戸凜選手
金戸凜選手(日本大学1年・セントラルスポーツ所属・名髙分教会別席運び中)は、先ごろハンガリー・ブダペストで開催された「世界水泳選手権大会」飛込競技女子3メートルシンクロ飛板飛込に出場し、日本勢で初となる銀メダルを獲得した。
ソウル、バルセロナ、アトランタ五輪の飛込競技に3大会連続出場した幸さん(53歳・同教人)・恵太さん(55歳・同ようぼく)のオリンピアンの両親のもと、姉の華選手、兄の快選手とともに“飛込きょうだい”として国内外の大会で活躍してきた金戸選手。
東京五輪出場に向けて練習に励んでいた2019年夏、右肩を負傷。翌年2月の手術後は、一人では入浴できないほど、日常生活もままならない状態だった。
こうしたなか、インナーマッスルを鍛えるトレーニングなどのリハビリを懸命に続け、昨年7月の関東選手権で復帰すると、「日本選手権水泳競技大会」飛込競技女子3メートル飛板飛込で同大会初優勝、高飛込で3位入賞。「初優勝は素直にうれしい」と話す一方で、「満足できる演技内容ではなかった」と悔しさもにじませた。
4月には、父や祖父、姉、兄が学んだ日本大へ進学。リハビリを続けながら、世界選手権に焦点を絞って練習を続けてきた。
「国際大会出場は3年ぶりとあって、緊張感をもって練習に臨めた。一人での挑戦ではなく、シンクロペアと一緒だったので心強かった」と振り返る。
ペアを組む三上紗也可選手(21歳)は、東京五輪飛込競技女子3メートル飛板飛込の日本代表選手。週に2、3回シンクロ練習を行い、「集中して取り組んだ」と振り返る。
迎えた世界選手権。金戸・三上両選手は「自己ベスト更新」を目標に飛込台に立つと、予選を5位通過した。
決勝では、3本目で「405B(後踏切前宙返り2回半エビ型)」を成功させるなど安定した演技を見せて2位をキープ。その結果、5本の合計303点で銀メダルを獲得した。日本勢が同大会の飛込競技でメダルを手にしたのは、2001年の銅メダル以来3回目、銀メダル獲得は初の快挙となった。
金戸選手は「国際大会の復帰戦、シンクロデビュー戦でメダルを手にできたことに感動し、驚いている。これまでの国際大会では焦りもあったけれど、今回はベストを尽くそうという一心で飛べた。8月の日本選手権では3種目出場を予定している。しっかり自分の演技をして“3冠”を目指したい」と話している。
また、今大会に国際審判員として同行した幸さんは「雰囲気にのまれることなく、大会に参加できる喜びを堂々と笑顔で表現していたので安心した。世界中の選手やコーチから声をかけてもらい、存在感をアピールできる選手になってきている」と娘の成長を喜ぶ。
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金戸選手は、8月5日から栃木県宇都宮市の日環アリーナ栃木で行われる「日本選手権水泳競技大会」飛込競技女子3メートル飛板飛込、同高飛込、同シンクロ3メートル飛板飛込に出場予定。
金戸幸さん一家の生活に密着したWEB動画を視聴できる