山形の豪雨被災地に駆けつけ救援活動 – 災救隊
2024・9/18号を見る
【AI音声対象記事】
スタンダードプランで視聴できます。
本部隊、北海道・東北ブロックの7教区隊が出動
今夏、列島各地で局地的な豪雨に見舞われた。
東北地方では7月25日、梅雨前線に暖かく湿った空気が流れ込み、午後に山形県で線状降水帯が発生。酒田市や新庄市などで「大雨特別警報」が発表され、県下16の市町村に「土砂災害警戒情報」が出された。さらに、24時間の降水量が観測史上最大となる地域もあり、最上川中下流域が氾濫。被害状況は、死者3人、軽傷4人、建物の全壊19棟、半壊495棟、一部損壊113棟、床上浸水91棟、床下浸水1千50棟を数えた。
既報の通り、災害救援ひのきしん隊(=災救隊、冨松基成本部長)山形教区隊は、8月7日から9日にかけて第1次隊、19日から21日にかけて第2次隊が出動。特に被害の大きかった戸沢村蔵岡地区で救援活動を展開した。
こうしたなか、戸沢村ボランティアセンターから山形教区隊に対し、引き続いての出動要請があった。これを受け、8月末に実施予定だった「北海道・東北ブロック訓練」を、本部隊の出動へと急遽切り替え、30日から9月1日にかけて、本部隊をはじめ北海道・東北ブロックの7教区隊が同村に駆けつけた。
隊員たちは、被災民家や公民館などで、敷地内に堆積した汚泥の撤去や、使えなくなった家財道具の搬出・運搬に力を尽くした。
河川氾濫の村で民家や公民館の復旧に尽力
災救隊本部隊、北海道・東北ブロックの各教区隊
7月25日からの記録的な大雨により、戸沢村では最上川や鮭川などの河川が氾濫したほか、水路による排水が追いつかなくなり水が溢れる「内水氾濫」も発生。300棟以上が床上・床下浸水の被害に見舞われた。
8月30日午前10時半、戸沢村社会福祉協議会「とざわふれあいセンター」に、災救隊本部隊と、北海道教区隊(三幣敦志隊長)、福島教区隊(荒井弘徳隊長)、宮城教区隊(佐藤健一郎隊長)、山形教区隊(佐々幸雄隊長)、岩手教区隊(千葉道雄隊長)、青森教区隊(漆舘孝一隊長)、秋田教区隊(宮野久道隊長)の隊員、計83人が参集して結隊式が行われた。
この後、戸沢村ボランティアセンターの要請を受け、豪雨被害が最も大きかった村内3カ所の現場へ出動した。
本部隊、北海道、福島、宮城、岩手、青森、秋田の各教区隊は、河川の氾濫により2階まで浸水した同村蔵岡地区の民家へ。1階の倉庫内に汚泥が流れ込み、足元がぬかるむなか、屋内に散乱した戸棚や戸板、家電製品、家財道具、木材などの“災害ごみ”をリレー方式で屋外へ搬出。長い角材などはチェーンソーで短く切り分け、トラックで集積場へ運んだ。
屋外では、家屋周辺に堆積した汚泥を土嚢に詰めたほか、敷地内の草刈りも行った。
一方、山形教区隊は、浸水した蔵岡公民館館内の洗浄、消毒、床下に堆積した汚泥の撤去、整地作業に従事した。
「ニーズ以上の働きをさせてもらえた」
翌31日は、本部隊が二手に分かれ、福島、宮城、岩手の3教区隊、北海道、青森、秋田の3教区隊と共に2軒の民家へ。汚泥の撤去や、水に浸かって使えなくなった家財道具を搬出した。
この日、災救隊の活動に立ち会った家主の親族は「2年前に家主が他界してから空き家になっていた。離れた場所に住んでいるので片づけができず途方に暮れていたが、災救隊の皆さんが大勢で駆けつけ、てきぱきと動いてくださって、とても有り難かった。予定になかった作業まで担っていただき、感謝の思いしかない」と話した。
一方、山形教区隊は前日に引き続き、蔵岡公民館で洗浄、消毒作業に当たるとともに、床板張りと屋外の花壇の泥出しに注力。午後は同村古口地区の畑へ向かい、途中合流した北海道教区隊と共に、汚泥の撤去作業を行った。
なお、8月30日から9月1日までの3日間で延べ255人の隊員が出動。5件の現場で汚泥撤去、3件の現場で家財道具などの搬出を担った。集積場に運搬した“災害ごみ”は約57トンに上った。
また、山形教区隊は7日に第3次隊、10日に第4次隊が出動し、同村蔵岡地区の民家で汚泥の撤去や家財道具の搬出などに当たった。
山形教区隊の佐々隊長(49歳・米澤分教会長)は「北海道と東北ブロックの各教区隊の方々が出動してくださり、とても心強く、有り難かった。また、ニーズ以上の働きをさせてもらえたことで、建物の管理者やボランティアセンターの方々にも大変喜んでいただいた。今回の出動は、本教の拠点がない戸沢村の人々に、お道を知ってもらうきっかけにもなったと思う。今後も要請があれば、いつでも出動できるように備えたい」と話した。
(11日記。)
下記から、災救隊本部隊の救援活動の様子をご覧いただけます。