2年ぶり弦楽“兄弟GP” – 天理中学校・天理小学校の生徒・児童「こども音楽コンクール」で「文部科学大臣賞」
2025・3/5号を見る
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天理中学校弦楽部と天理小学校の生徒・児童は、先ごろ「こども音楽コンクール」(TBSラジオ主催)で、ともに第1位相当の「文部科学大臣賞」を受賞。天理中は「合奏第1部門」で11回目の頂点に。一方の天理小は「重奏部門」で同校初となる3連覇を果たし、2年ぶりに同大会での“兄弟グランプリ”を達成した。
雪辱果たして日本一
天理中学校弦楽部

今年で72回目を数える同コンクールは、全国959の小・中学校が“日本一”を競う国内最大級の大会。六つの部門が設けられ、ブロック大会の録音データをもとに「文部科学大臣賞選考会(全国大会)」が行われる。
天理中弦楽部は昨年、5連覇をかけて臨むも入賞を逃した。雪辱を期す今年は、ビバルディ作曲の『「調和の霊感」から 四つのバイオリンとチェロのための協奏曲ロ短調第1、第3楽章』を選曲。コーチの上田真紀郎さん(47歳)は「四つのソロバイオリンとチェロ、そして合奏群が情熱的にかけ合う曲。ビバルディが音楽教育を施した孤児院の少女たちに向けて作った曲で、同年代の生徒たちも心から楽しめる曲ではないかと思った」と話す。
部員の9割が初心者から楽器を始めた。個人やパートに分かれ、ゆっくりとした速さから正確なリズムで弾けるように練習したのち、生徒同士で意見を出し合いながら音色をつくり上げていった。
迎えた西日本大会当日。27人のメンバーは、ソロと合奏群から成るメロディーを一糸乱れぬかけ合いで響かせ、11回目となる「文部科学大臣賞」を受賞した。
キャプテンの野口実優さん(3年)は「昨年の悔しさを晴らそうと部員が一丸となって練習を積み重ねてきた。日本一という目標を達成できてうれしさでいっぱい」と話した。

3連覇の快挙達成
天理小学校
天理教音楽研究会「弦楽教室」へ通う中山うたえさん(天理小6年・バイオリン)と村山彰君(同・チェロ)の二人は、「重奏部門」に出場した。
曲目は、ベートーベン作曲の『バイオリンとチェロのための二重奏曲第1番から第1楽章』。指導する上田コーチは「リズムの細かい箇所があり、なおかつ高い技術を要求される難曲だが、朗らかで明るい曲調が二人に合っていた」と語る。
6歳から「弦楽教室」で楽器を始めたという二人。村山君は昨年も同コンクールに出場し、最高賞を受賞した。一方の中山さんは、これまでソロのコンクールには出場していたが、重奏は初めて。重奏の練習を始めた当初を振り返り、「二人でお辞儀をするところから合わなかった」と笑う中山さん。そうした中も、二人は1日2時間ほどの自主練習に加えて、週に何度か集まって練習。村山君は「難しいところはゆっくりやったり、リズムを変えたりして、工夫して練習した」と話す。
本番では、明るく快活な旋律を息の合ったかけ合いで躍動感いっぱいに奏で、天理小の児童として3連覇の快挙を成し遂げた。
中山さんは「受賞を知ったときは、家族みんなですごく喜んだ」と。村山君は「難しい曲だったけれど、日本一を取ることができてとてもうれしい」と語った。
