時報俳壇(2025年6月4日号)– ふじもとよしこ選
2025・6/4号を見る
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天理時報開けば桜満開に
尼崎市 前田禎子
バスよ来い春よ来いとて歌ひ出す
東京都 吉田柳哲
やせ牛の谷を登るや牧開き
愛媛県 中山富貴
ぢばの宵はえでづとめや月おぼろ
和歌山市 西澤喜久治
信じきる事のよろこび誕生祭
横浜市 番家達也
春の富士仰ぎ異郷へ伝導う父
東京都 大矢典子
春灯し妻点訳を校了す
札幌市 田森つとむ
鳥翔てばさくらはらはら陽に映ゆる
豊川市 菊地美智代
眼を奪ふ桜百花のおぢばなり
天理市 北 をさむ
春うらら里子入学うれしかり
東京都 山中一長
目貼剥ぐ生きる望みをかみしめて
滝川市 加納千世子
神苑のみかぐら唱和春日和
東近江市 板倉 晃
誕生祭祝うかに晴れ柿若葉
名張市 霧道三明
抱かへ持つパンク自転車下萌ゆる
近江八幡市 若林白扇
浅春の光返して大回廊
広島市 田中典子
菜の花や行けど行けども利根の土手
千葉県 樋渡 忍
春風邪のたんのうするぞ前向きに
氷見市 津田直俊
参拝の帰りに見上ぐ巣立鳥
東京都 長嶋眞一
雛達と話のはずむ古座敷
飯田市 水野千佐子
春愁や介護の友のいとけなく
江別市 杉山忠和
浪人てふ報告もあり四月かな
町田市 鯉渕洋子
五平餅と媼の唄や花筵
飯田市 本島美樹
くちびるの紅きも褪せて花疲れ
横浜市 及川秀代
春泥は笑う埴輪となりにけり
大阪市 上田禮子
山野辺の四方ラブラブ鳥交る
東京都 菊地孝雄
選者詠
菜の花の棚田背に石舞台
【評】
前田さん
境内地の桜は咲き誇り、絶景スポットがありますね。時報の写真を見て、作者の気持ちも満開の桜のように華やかになったのでしょう。
吉田さん
春を待ち焦がれる気持ちが十二分に伝わってきます。リズム感があって、読者も歌いだしてしまいそうです。
中山さん
早春のユニークな句です。冬の間に痩せた牛が谷を登る風景が目に浮かびます。
次回は、7月末までの到着分から選句。投稿は夏の季語(5、6、7月)を用いた俳句3句まで。お名前(ふりがな)、電話番号、住所を付記のうえ、下記までお送りください。
〒632‐8686 天理郵便局私書箱30号「時報俳壇」係
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