夏の親里で子供と向き合い「つくすよろこび」伝えて – こどもおぢばがえり密着リポート 少年ひのきしん隊カウンセラーのまなざし
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「お茶いかがですかー!」。今年も「こどもおぢばがえり」の会場では、「人のためつくすよろこび ひろげよう」を合言葉に、「少年ひのきしん隊(=少ひ隊)」の隊員たちがお茶接待などのひのきしんに汗を流している。期間中、温かいまなざしを向けながら子供と向き合うのは、各教区隊のカウンセラーたち。彼らは夏のおぢばでひのきしんに励む隊員たちにどう接し、どのように教えを伝えているのかーー。本部練成会第1次隊の期間である7月26日から28日にかけて参加した、教区隊のカウンセラー3人に密着した。(「密着リポート」取材班)
開幕前日の7月26日午後3時半、本部練成会の宿舎で入隊式が行われた。
「皆が元気にひのきしんに取り組み、お道の教えを少しでも味わうことが目標」と語るのは、埼玉教区隊のカウンセラーの富樫京士さん(21歳・柴山分教会ようぼく・埼玉県桶川市)。高校3年時に参加した教区独自の育成行事「わかぎジョイフルスクール」を通じて教えの大切さに気づいた。以後、教会参拝と教区行事への参加を心がけるようになった。
2年前、同隊のカウンセラーに。その際、自身が受け持つ班に身上者が続出した。
「体調不良を言い出せなかった隊員がいたのに気づくことができず、申し訳ない気持ちだった。あのときの経験を忘れず、隊員たちがおぢばでの時間を存分に楽しめるよう、十分に気を配りたい」
自らの〟育てられた経験〟を胸に
「ひのきしん、よろしくお願いします」。
27日午前8時半、「アスレチックBOX」前のお茶所で沖縄教区隊の隊員が会場スタッフにあいさつし、初日のひのきしんが始まった。
30度を超える暑さのなか、隊員たちをうちわであおぎながらコミュニケーションを取るのは、カウンセラーの木村幸夏さん(22歳・南風原分教会ようぼく・那覇市)。小学生のころから信仰熱心な祖父母の勧めで教区の少年会行事に参加し、その後は教区学生会の活動に積極的に携わり、委員長も務めた。
3年前、初めてカウンセラーを務めたとき、宮里真由美・少年会沖縄教区団団長(50歳・中頭分教会長夫人)の隊員を勇ませるような明るい性格や、時に厳しく仕込む姿に、「人を育てるとは、どういうことなのかを教えてもらった」と振り返る。
今年はカウンセラーとして4回目の参加。「おぢばで隊員同士がたすけ合い、楽しく喜んでひのきしんができるよう、全力で取り組みたい。この機会に、同じ教えを信仰する仲間とのつながりを強めてほしい」
◇
一方、大分教区隊の隊員たちは「アチコチランド」前のお茶所でひのきしんに取り組む。
深川由浩さん(26歳・郷渓分教会ようぼく・大分県中津市)は、3回目のカウンセラーを務める。小学1年生から毎年「こどもおぢばがえり」に参加し、中学2、3年時には少ひ隊に入隊。「少ひ隊の隊員だった当時、子供ながらに人のために動く喜びを感じた。隊員たちが同じ喜びを感じられるよう、しっかりとサポートしたい」と意気込む。
午後、「アスレチックBOX」行事に参加した隊員たちの様子を穏やかに見守る深川さんだが、その一方で「身上者が一人出たので心配」と。
自らが隊員だったころ、お腹を壊したことがあった。その際、カウンセラーから御供をもらい、気分が楽になった経験があるという。「休んでいる隊員の体調が良くなるように、おつとめの際に班のメンバーに声をかけ、親神様にお願いさせてもらおうと思う」
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4時、本部神殿東礼拝場では、埼玉教区隊の富樫さんが隊員たちに神殿や親神様について説明していた。
「お道の教えを上手く説明できるかどうか不安だった」と話すものの、初めておぢばを訪れた隊員から「面白かった」という反応が。
富樫さんは「隊員たち自身がおぢばでの生活を通じて神様の存在を感じたのかもしれない。この後も、ひのきしんの意味などを積極的に伝えていきたい」と語る。
皆で伏せ込んだ思い出を大切に
翌28日午前、大分教区隊の深川さんのもとに、身上で休んでいた隊員の体調が回復し、午後のひのきしんに合流すると報告が入った。
「お茶どうぞー!」。午後のひのきしん現場である「チャレンジパーク」では、真夏の日差しが照りつけるなか、隊員たちがひときわ大きな声で呼びかけていた。深川さんも隊員と一緒に勇んでひのきしんに勤しむ。
「最後に隊員全員でひのきしんに取り組むことができて何より有り難かった。隊員たちは、おぢばの魅力や人のために動く喜びを存分に味わったと思う。この気持ちを忘れず、またおぢばに帰ってきてくれたらうれしい」
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午後2時すぎ、「バラエティー188」の受付付近のお茶所では、沖縄教区隊の隊員たちが冷たいお茶を笑顔で差し出していた。
木村さんは時折、隊長や副隊長に、ほかの隊員の様子を見ながらサポートするよう声をかけていく。「ひのきしんに取り組む際や行事会場を楽しむ中でも、隊員同士のたすけ合いを意識することが大切だと思う」
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5時、解隊式。富樫さんは「病気やけがなく、3日間を通りきることができて本当に良かった」と安堵しながら隊員たちを見つめる。
「最初はひのきしんを楽しむことができなかった隊員が、最後には『もっとひのきしんをしたい』と言っていたことに驚き、うれしさが込み上げた。これからさらに教えを学んで、少年会員に分かりやすく伝えられるようになりたい」と笑顔を見せた。
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解隊式の後、沖縄教区隊の隊員たちは期間中の感想を用紙に記入していた。「『ありがとう』と言ってもらえてうれしかった」「ほかの地域の隊員と仲良くなれた」「朝起きられることは当たり前じゃないと学んだ」
感想を目にし、隊員たちの成長を実感したという木村さんは「夏のおぢばで、皆で一緒に楽しんで伏せ込んだ思い出を大切にして、これからもお道の話ができる仲間をたくさんつくってもらいたい。そして、学生会、婦人会や青年会につながり、今度は育成会員として自分が学んだことを少年会員に伝え、導いてくれるようになればうれしい」と語った。