時報俳壇(2025年8月27日号)-ふじもと よしこ選
2025・8/27号を見る
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気風よき男になれよ初鰹
横浜市 番屋達也
睡蓮の水の余白を風通る
明石市 石田文枝
黒も又燃ゆる色なり大揚羽
豊川市 菊地美智代
右足のシュート一閃夏つばめ
札幌市 田森つとむ
予報には無き朝虹と出会いけり
愛媛県 中山富貴
信濃路やみどり蛇行の千曲川
町田市 田林美智子
夏至の陽を浴びて長蛇のパビリオン
旭川市 藤崎実
噴火口静かに御座す山開き
東京都 吉田柳哲
蜻蛉玉ころんと透けて夏の帯
広島市 田中典子
この星を統べるのは誰ぞ原爆忌
大阪市 上田禮子
夕立やどよめきしずむ忍者村
天理市 北をさむ
夏のぢば鼓笛奏でる子等の渦
東京都 山中一長
夜濯をして学習へ望む子等
東京都 長嶋眞一
カチワリを頭に載せし甲子園
名張市 霧道三明
父と子の投撃練習大夕焼
今治市 仙波絹子
老いぬれば親里遠く梅雨寒し
町田市 鯉渕洋子
またひとつ田んぼ消えゆく走り梅雨
川越市 井上麻里
三味線の余韻嫋々夏来たる
福岡県 山口騰水
雲の峰顔の動きし新紙幣
近江八幡市 若林白扇
トロ箱を並べて園児の田植えかな
広島市 大村佳光
夏空や天理球児の活躍を
高崎市 正田久美代
遠雷の男のように仁王立ち
滝川市 加納千世子
消灯後子等ヒソヒソとぢばの夏
門真市 傳石敏治
風そよぐ雫光りて柿若葉
瀬戸内市 楓百合子
蛍の灯心の暗闇照らす道
福山市 藤井宣人
雨去りぬ友のラインに虹の橋
東京都 坂田恭介
吾子よりのデイゴの便り温風や
東京都 大矢典子
選者詠
残像の蜥蜴の縞の鮮やかさ
【評】
番屋さん
黒潮に乗ってくる、その色香も染みて男らしい姿の鰹。気前のいい形容にピッタリな季語です。
石田さん
視点を「水の余白」に留めたことが手柄です。風によって睡蓮の風情が変わりますね。
菊地さん
真夏の日差しの中では、黒は燃える色ですね。黒い羽根を静かに動かす大揚羽の姿が印象的です。
次回は、10月末までの到着分から選句。投稿は秋の季語(8、9、10月)を用いた俳句3句まで。お名前(ふりがな)、電話番号、住所を付記のうえ、下記までお送りください。
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