コロナから熊へ – 世相の奥
2026・1/14号を見る
【AI音声対象記事】
スタンダードプランで視聴できます。
最近、熊の話題がかまびすしい。2025年の年末には、その年を代表する漢字として、とりあげられた。清水寺で「熊」という字がしたためられた光景を、テレビなどで見かけた人は多かろう。干支は巳、蛇の年だったが、熊の年になってしまったようである。
以前から、山里で熊を見かけることは、ままあった。それでも、たいていの熊は人の気配をいやがり、街には近づかない。人にはおびえをいだいていると、言われてきた。だが、ごく近年は都市の中心地へもやってくる。人をおそう場合も、けっこうあるらしい。
その理由も、よく語られる。たとえば、熊の好物であるドングリが、山でとれなくなった。そのため、餌をもとめ街へ出没しはじめたのだ、と。人間がだす生ゴミ、食品ゴミをねらっている。近郊で栽培される柿も熊をひきよせていると、しばしば聞かされた。
もし、そうであるなら、山中にドングリや柿をまく手もある。ドローンなどで散布すれば、熊も山へもどるのではないか。以上のようにも考えるが、なかなかむずかしいのだろう。今は妙案がないらしい。
ただ、熊の被害はヨーロッパでもふえているという。やはり、熊が街で出没しだし、人をおそうようになった。そんな報道を耳にしたことがある。
だとすれば、熊の都市進出を、日本的な情況説明だけで語りつくすわけにはいかない。柿のみのらない外国でだって、熊は同じようにふるまいだしている。そういう熊の動向を、柿が好きだからという理由では論じきれないだろう。なにか、もっとグローバルにあてはまる理屈がほしくなってくる。
ひとつ、思いつくことがある。2024年のはじめごろまで、世界は新型コロナというウィルスに、みまわれた。感染力が強く、多くの人がくるしめられている。病死者もおおぜいいた。
あの時期、世界中の都市が人びとの行動に制限をかけている。たがいに距離をとれ、ソーシャル・ディスタンス!家にひっこんでいろ、ステイ・ホーム!そんなかけ声がとびかった。口ック・ダウン、都市封鎖にふみきったところもある。
2年ほどのあいだ、街からは人影がきえた。街が人里からはなれたようなエリアになっている。あの閑散ぶりが熊を街へひきこみだしたのかもしれない。










