おやのことば おやのこころ(2021年5月2日号)
いまゝでもどのよなみちもあるけれど
「おふでさき」十号42
月日をしへん事わないぞや
先週末、昔の写真を整理しました。
数十年前、エジプトで留学生活を送っていたときに撮った数千枚の写真の中に、ある年の5月、研修旅行でシナイ山に登った際の写真を見つけました。
エジプト領内・シナイ半島の南部に位置する標高2,285メートルのシナイ山は、紀元前1300年ごろ、モーセが神から「十戒」を授かったとされる場所であることから、キリスト教のみならず、ユダヤ教、イスラームの聖地の一つとして世界中から巡礼者が訪れます。
当日午前2時ごろ、前泊した麓の修道院を出発して山頂を目指しました。満天の星空のもと、標高差800メートルの岩だらけの登山道を歩き続け、5時すぎに山頂にたどり着きました。そこには、寒さのなか、聖なる場所でご来光を待つ人々が群がっていました。
やがて東の空が曙色に染まり始め、山々のシルエットが色濃くなった次の瞬間、まばゆいほどの朝日が姿を現し、陽光に照らし出された茶褐色の山々が広がる荘厳なパノラマに目を奪われました。
「いまゝでもどのよなみちもあるけれど 月日をしへん事わないぞや」
親神様は人間創造以来、さまざまな教えを人間の成人に応じて現されてきたが、その端緒の一つとも言える十戒が授けられた場所に、その後3000年以上の歳月を経て明かされた「だめの教え」を信ずる筆者が居合わせ、いま、お日様の温もりを感じている……。
昇りゆく朝日を眺めながら、そんな不思議な感動を覚えたことを思い出しました。
(あ)