“明るい心”で通ってこそ – 視点
東京商工リサーチによれば、昨年1年間に休廃業や解散に追い込まれた企業は、49,698件と調査開始以来最多となった。事業承継がスムーズに進まず、社長の高齢化(70代が最多)が休廃業や解散に拍車をかけたと見られる。
こうしたなか、『ウォール・ストリート・ジャーナル』が発表した「持続可能な経営企業100社」の第1位は、米国の巨大IT企業GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)のいずれでもなく、日本のソニーであった。
この評価は、ビジネスモデルや環境などに関する持続可能性指標に基づいているが、筆者はむしろ同社の設立理念に着目する。創設者の井深大氏による『設立趣意書』は、第一に「自由豁達ニシテ愉快ナル理想工場ノ建設」と謳っている。明るさが漂うこの趣意書が起草されたのは、いまだ敗戦の暗い空気が社会を覆っていた昭和21(1964)年のことである。
それよりも早く、終戦直後「復元」に着手された中山正善・二代真柱様は、昭和24年に復元教典(現在の『天理教教典』)を刊行された。そして、「復元教典でも陽気ぐらしを強調しました」と仰せられている(『続ひとことはなし』)。
「おふでさき」に「月日にわにんけんはじめかけたのわ よふきゆさんがみたいゆへから」(十四号25)と教えられるように、私たちが目指すのは陽気ぐらし世界の建設である。もちろん、それは「皆んな勇ましてこそ、真の陽気という。めん/\楽しんで、後々の者苦しますようでは、ほんとの陽気とは言えん」(おさしづ明治30年12月11日)と諭されているように、わが身勝手な心ではなく、互いにたすけ合う中から生まれる陽気である。
また、信仰していても困難な状況が現れることもある。その中を「いつまでしん/\゛したとても やうきづくめであるほどに」(みかぐらうた五下り目五ッ)と、をやの思いをたずね、心を澄ますことで、喜びと楽しみづくめの生活が実現することを示されている。
今の大節を思召に沿う明るい心で通ることこそ、末代続く道のもとであろう。
(靖)