子供にご守護を読み聞かせて – 視点
本屋の絵本コーナーに行くと目に留まるのが、ヨシタケシンスケ氏の作品である。
絵本専門誌『MOE』が毎年、全国約3,000人の絵本専門店・書店の児童書売り場担当者にアンケートを取り、「絵本屋さん大賞」という年間ランキングを発表している。
2020年の大賞がヨシタケ氏の『あつかったらぬげばいい』で、08年から始まった同賞で氏が大賞になるのは6冊目。昨年に限っては、氏の絵本がトップ10に4作品もランクインしている。
また、2018年にポプラ社が行った「小学生がえらぶ! “こどもの本”総選挙」でも、同氏の絵本はトップ10に4冊ランクインし、子供にも大人にも支持されているといえよう。
彼の作品の何が子供や大人を惹きつけるのか。その理由の一つに、問いかけに対する自由な発想があると思う。
たとえば『あつかったらぬげばいい』の本では、「せかいがかわってしまったら」という問いに対して、「じぶんもかわってしまえばいい」と記し、「いみのわからないページがあったら」という問いに対しては、「バンバンとばしてわかるとこだけよめばいい」と答えている。
現代は「答えのない時代」といわれる。答えのない問いかけや世の中の常識に対して、さまざまな物の見方・考え方がある(できる)ことを、ユーモアを交えて提示する。そこに、ヨシタケ人気の理由があり、絵本の力があるのだと思う。
翻って、本教の子供向けの出版物を眺めてみたとき、まだまだ充実しているとは言いがたい。特に、児童に読み聞かせのできるものは少ない。
中山正善・二代真柱様は「親の理を知らず識らずの間に、子供に喜びを以て納得さす事柄が即ち、(中略)縦の布教の意義なのであります」(昭和35年「縦の布教講習会」)とおっしゃったことがある。
お道らしいものの見方を、小さいころから絵本や児童書を通じて伝えることができれば素晴らしいことだと思う。
このたび道友社から『たんていまーしー ぽかぽかおひさまのひみつ』が発刊された。何げない日常の出来事の奥にある、親神様の十全のご守護を子供に伝える一助になればと願っている。
(山澤)