五輪連覇の偉業 – 天理大柔道部OB 大野将平選手
苦しい戦いを勝ち抜き「金」
「何か実力以外の部分も…」
天理大学柔道部OBの大野将平選手(29歳・大原大教会ようぼく・旭化成所属)は、7月26日に東京・日本武道館で行われた「東京オリンピック柔道競技」男子73キロ級に出場。決勝での延長戦の末、ジョージア代表のラシャ・シャフダトゥアシビリ選手を倒して金メダルを獲得し、オリンピック連覇を成し遂げた。“天理勢”のオリンピック柔道競技での連覇は、3連覇した野村忠宏さん以来2人目。日本選手としては7人目の快挙となった。
5年前、リオデジャネイロ五輪で優勝し、金メダルに輝いた大野選手。座右の銘は、穴井隆将・天理大柔道部監督から授かった「集中・執念・我慢」。
昨年、五輪が延期となり、1年後の開催さえ危ぶまれる中も、不動心でトレーニングに打ち込んできた。
執念見せた決勝戦
7月26日、再び大舞台に立った大野選手は、初戦を「内股」、3回戦を「横四方固」、準々決勝では合わせ技と、鮮やかな「一本」で勝ち進む。
ところが、準決勝は怪力の相手に苦戦し、延長戦の末、「小外掛」で「技あり」を奪い辛くも勝利した。
決勝も再び延長戦へ突入。厳しい戦いが続くなか、延長5分すぎ、「支釣込足」で相手を倒して「技あり」。勝利への執念を見せ、オリンピック連覇の偉業を達成した。
優勝が決まった直後、大野選手は深々と一礼すると、目に焼きつけるように数秒間、日本武道館の天井を見上げた。
優勝を決めた直後のインタビューで、大野選手は「リオ五輪以降は『何のために稽古をやっているのだろう』と自問自答する日々だった」「苦しくて、つらい日々を凝縮したような、そんな一日の戦いだった。自分の中でも感じたことのない恐怖の中で戦っていたが、その中で勝ちを拾ってこられたのは、何か実力以外の部分もあったのかなと感じている」「今回の大会、賛否両論があることは理解しているが、我々アスリートの姿を見て、何か心が動く瞬間があれば光栄に思う」と語った。
なお、大野選手は31日に行われた柔道混合団体に出場。日本代表は決勝で惜しくも敗れ、銀メダルとなった。