メダル獲得を陰でサポート – 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会
7月に開幕した東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会は、9月5日に全日程終了。期間中、アスリートの躍動する姿に注目が集まった背景には、彼らを陰で支えるようぼく・信者子弟の存在があった。ここでは、パラリンピック陸上競技で二つのメダルを手にした和田伸也選手の専属トレーナーを務めた宮里康和さん(42歳・本部直属満洲眞勇分教会ようぼく)と、オリンピック陸上競技男子110メートル障害で金メダルを獲得したジャマイカ代表のハンスル・パーチメント選手を窮地から救ったストイコビッチ・ティヤナさん(25歳・西北分教会信者ストイコビッチ・ボジターさんの長女)の二人を紹介する。
二つのメダル獲得に貢献 – 宮里康和さん
中学時代に陸上競技を始めた宮里さん(=写真右)。高校卒業後は就職を経て自衛隊に入隊し、マラソンランナーとして各地の大会に出場してきた。
平成21年には、ウルトラマラソンの最高峰であるIAU100キロワールドカップで金メダルを獲得。その後、大阪府トライアスロン協会の依頼を受け、ランニング指導に携わるようになった。
こうしたなか、ある全盲のランナーと関わったことから、自衛隊を退職して福祉の道へ。4年前、ロンドンパラリンピック5000メートルで銅メダルを獲得した和田選手をサポートするようになった。
和田選手の伴走者として出場した「ドバイ2019世界パラ陸上競技選手権大会」では、1500メートルで4位に入り、東京パラリンピック代表選手選考に大きく貢献。大会までの期間は、和田選手のたっての希望で専属トレーナーとなった。
昨年、知人の堀川幸恵さん(49歳・本部直属満洲眞勇分教会幸眞勇布教所長・奈良市)の勧めで初席を運んだ。その後も定期的におぢば帰りを重ね、ようぼくの仲間入りを果たした。
本大会では、和田選手と伴走者を献身的にサポート。陸上競技の三つの種目に出場した和田選手は、1500メートルで銀メダル、5000メートルで銅メダルを獲得した。
宮里さんは「和田さんが無事にゴールしたとき、正直ホッとした。3年後に控えているパリ大会では、一つでも上の順位に入れるよう、今後もしっかりサポートしていきたい」と話している。
とっさの判断と行動に反響 – ストイコビッチ・ティヤナさん
東京オリンピックの運営スタッフを務めていたティヤナさんは8月4日、江東区にある海の森水上競技場のバス乗降場で、会場へ向かう選手らの案内・誘導に当たっていた。
そんななか、陸上男子110メートル障害の準決勝が行われる国立競技場へ向けてバスで移動していたジャマイカ代表のパーチメント選手は、バスを乗り間違えたことに気づき、海の森水上競技場のバス乗降場で降車。助けを求められたティヤナさんは、大会組織委員会に連絡し、タクシーを手配。さらに、国立競技場までのタクシー代を手渡した。
無事に会場入りしたパーチメント選手は準決勝を突破。翌日の決勝では、自己ベストを更新して金メダルを獲得した。
パーチメント選手は後日、ティヤナさんに「あなたのおかげで決勝に進むことができた」と感謝の言葉を伝え、タクシー代を返す様子をSNSで公開。その動画が拡散され、彼女のとっさの判断と行動が世界中で大きな反響を呼んだ。
同月19日には、駐日ジャマイカ大使館で感謝の式典が催され、ジャマイカ政府の観光大臣が、お礼としてティヤナさんをジャマイカへ招待すると発表した。
ティヤナさんは「試合に出場できなかったら一生後悔させてしまうことになると思い、助けてあげたい一心だった」と振り返った。(岡大・森井社友情報提供)