気づきから心の切り替えへ – 視点
日本国内の新型コロナウイルスの感染状況は現在、小康状態を保っている。
親神様のお導きをありがたく思うとともに、多くの人が活動の自粛をはじめ、さまざまな努力を重ねた結果の現れだと思う。しかし、流行が収まっている今だからこそ、それぞれ個人が警戒心を緩めず、手洗いなど油断なく感染症対策を継続していくことが大切だ。
この病気の流行が世界で始まって、もうすぐ2年になる。中国で集団感染が発生し、世界保健機関(WHO)に初めて報告されたのが2019年12月31日。確定された最初の患者の発症は12月8日と発表されている。日本で感染が拡大し始めてからは1年半余りが経つ。ここまでの間、あらゆる人や組織が活動を縮小し、生活や業務のあり方を転換したり、場合によっては休止したりすることを余儀なくされた。各人がいろいろなことを考えざるを得ない中で、あらためて大切なことを再確認したり、新たな気づきを得たりした人も少なくないだろう。
今年5月、日本経済新聞が「新型コロナが私たちに気づかせたものとは?」との題で読者投稿を募り、紙面と電子版に掲載した。
読み返すと、「当たり前がいかにもろいかを感じた」「政治判断が生活に大きな影響を及ぼすことを思い知った」「キャッシュレスが進み、その利便性に気づいた」など多様な内容が載っていた。
その中で、心のあり方や助け合いの大切さを述べたものも多かった。「未知の病原体におびえて医療関係者を差別したり、孤独に耐えきれず会食に繰り出してしまう心の弱さこそ人間の特徴」「効果的にパソコン画面で会話するためには、内面からにじみ出る人間性を醸成することが求められる」「弱い者同士が支え合い助け合えるようになれば、世界は今よりもずっと暮らしやすくなる」などだ。
親神様は、世界的なこの事情を通じて、世界中の人間の心の切り替えを求めておられるように思う。感染症対策を忘れないこととともに、心の切り替えを目指していきたい。
(松村登)