ルポ – 少年会山口教区団第1回総会「ぼくたちの!『みんなわくわく大作戦!』」
“地域の合力”で道の子弟育成
コロナ禍の影響により、「こどもおぢばがえり」をはじめとする子弟育成行事が相次いで中止を余儀なくされるなか、各地の教会や教区・支部では、地域での道の子弟育成の取り組みをさまざまに進めている。既報の通り、少年会山口教区団(宗綱達哉団長)は先ごろ、少年ひのきしん隊山口教区隊の「結隊式」をあらためて挙行し、常時活動の充実を図っている。こうしたなか、同教区団では独自の育成行事として、「ぼくたちの!『みんなわくわく大作戦!』」と銘打った第1回総会を10月31日に開催した。いまできる地域での子弟育成の取り組みに密着取材した。
10月31日午前10時前。秋晴れのもと、山口市内の山間部にある旧篠目小学校の敷地に、山口教区管内の少年会員とその家族が続々と集まってきた。
受付で一人ひとりが検温と手指消毒を済ませると、参加者は体育館内へ。少年会山口教区団の第1回総会の式典が行われた。
その席上、山瀬文男・同教区主事(48歳・山陽大教会長)が、少年会長である真柱様の告辞を代読してあいさつ。この後、司会が「『みんなわくわく大作戦!』を開始します」とアナウンスすると、少年会員たちは一斉に屋外へ駆けだした。
体育館横のスペースでは、「こども広場」と銘打ち、メダカすくいや射的、紙芝居などのブースを、同教区管内の13支部がそれぞれ設けている。育成スタッフ総勢約70人がひのきしんに当たるなか、少年会員たちは列になって、順番にアトラクションを楽しんだ。
ヨーヨー釣りをする2歳の息子を見守っていた米島美奈さん(40歳・周海分教会教人)は、親子3人で参加。「小さい子供でも楽しめるように準備してくださり、とてもありがたい。地域の教友の皆さんとも、久しぶりに顔を合わせる機会になった」と笑顔を見せる。
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同教区団の宗綱団長(56歳・竜宮野分教会長)は「これまで『こどもおぢばがえり』を頼りに教区の育成活動を進めてきたが、コロナ禍で簡単におぢば帰りができない状況になり、あらためて地域での道の子弟育成の重要性を感じた。お道を信仰していれば間違いないということを、一人でも多くの子供たちに伝えたい」と熱っぽく語る。
育成スタッフの経験生かして
同教区団では、コロナ禍となって以来、宗綱団長を中心に地域での子弟育成のあり方を模索し、昨年の同時期に総会を計画。しかし、コロナの感染状況が収まらなかったことから、やむなく総会を延期し、独自の「鼓笛お供演奏」のみ実施した。
その後、今夏の「こどもおぢばがえり」も中止を余儀なくされたことを受け、延期していた総会の内容を再検討。各支部の少年会スタッフが毎月集まって会議を持ち、当日に向けて準備を進めてきた。
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午後1時半すぎ。体育館で「ぼくたちの! みんなわくわく大音楽会」がスタートした。
これは、事前に教区管内の少年会員を含めたようぼく・信者に、こどもおぢばがえりソング『ありがとう!夏のおぢば』を演奏・演技した動画をそれぞれ撮影してもらい、それらを一つの動画にまとめて上映するもの。
「大音楽会」を企画した同団鼓笛活動部の五十部寛さん(49歳・惠豊分教会長)は、天理教校附属高校(当時)マーチングバンド部OBで、長年にわたって少年会本部の鼓笛スタッフを務め、5年前からは地域の鼓笛活動を推進している。
五十部さんは、「大音楽会」の企画意図について「幼いころから一生懸命に鼓笛練習に励んだ子供たちは、多くの笑顔や涙を経験して、どんどん成長していく。コロナ下にあっても、鼓笛活動を通じて教えの大切さを伝えられたら」と語る。
ステージ上の特大スクリーンでは、管内から集まった75点の動画を一つにまとめた動画が流された。こどもおぢばがえりソングが館内に響き、少年会員たちはスクリーンにくぎ付けになって見入っていた。
少ひ隊も前日から準備ひのきしん
続いて、少年ひのきしん隊山口教区隊を代表して重長翔太さん(中学3年・福波分教会信者)がステージへ。
「少年ひのきしん隊山口教区隊、集合!」と号令をかけると、隊員たちは2列横隊でステージに整列し、元気よく点呼。この後『ありがとう! 夏のおぢば』のダンスパフォーマンスを披露すると、少年会員や保護者から盛大な拍手が送られた。
8月に結隊された同隊隊員24人は、今回の総会の準備ひのきしんを担当。前日から体育館の床の拭き掃除や、トイレ掃除などに汗を流した。
当日の開会直前、同隊の担当者である川上正弘さん(47歳・長厚分教会長)が隊員を集めて、「参加者が楽しめるよう、ひのきしん隊として、自分にできるひのきしんを心がけよう」と声をかけた。総会の間、隊員たちは会場のごみ拾いや参加者の靴をそろえるなどのひのきしんに取り組んでいた。
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この後、「ぼくたちのみんなわくわく大作品展」の表彰式が行われた。これは、7月から教区管内の少年会員を対象に絵画、書道、イラストの3部門で作品を募集し、9月末から山口教務支庁内に展示した作品展の表彰式。総会当日には、館内の壁にすべての作品が展示された。
午後2時半すぎに閉会式。あいさつに立った宗綱団長が「楽しかった人?」と声をかけると、少年会員たちは元気よく手を挙げた。
宗綱団長は「今回の総会は、各支部の少年会スタッフの、育成にかける熱い思いによって、全支部が協力し、“地域の合力”で実現することができた。参加した保護者の中には、かつて本部練成会の教区隊に一緒に入隊した人同士が再会する場面もあり、育成行事を連綿と続けていくことの大切さを、あらためて感じた。少年会活動が活発な地域には、活気がみなぎると思う。今後も教区として、道の子弟育成の取り組みを推し進めていきたい」と語った。
文=加見理一
写真=山本暢宏
少年会山口教区団第1回総会の様子をご覧いただけます。