天理時報2022年5月18日号4面
【“ようぼく監督”が目指す一手一つのチームづくり 天理高野球部監督 中村良二さん – ヒューマンスペシャル】甲子園で春夏通算3度の全国制覇を果たしている天理高校硬式野球部。監督の中村良二さん(53歳・宮ノ陣分教会ようぼく)は昭和61年、天理高野球部の主将として「全国高校野球選手権大会」に出場。教祖100年祭の年の夏の甲子園で、悲願の初優勝を成し遂げた。その後、中村さんはプロ野球選手を経て指導者の道へ進むと、平成27年、同部監督に就任。今春には3年連続で「選抜高校野球大会」に出場するなど、指導者としての優れた手腕を発揮している。こうしたなか、先ごろ初の著書『選手と距離を置く理由』(竹書房)を上梓。高校野球の監督としての指導方法のほか、お道の信仰にまつわるエピソードも明らかにしている。天理の高校球児を夢の甲子園へと導く“ようぼく監督”の思いに迫った。県大会でチームを指揮する中村さん福岡出身の根っからの野球少年は、小学6年生の夏、雨の甲子園で懸命にプレーする天理高野球部の選手の姿に釘づけになる。光り輝いて見えた“紫のユニホーム”に、「これを着て野球したい」と強く思った。野球に打ち込む傍ら、信仰熱心な祖母・みさきさん(故人)に導かれ、母・トキエさん(77歳・宮ノ陣分教会ようぼく)と所属教会の月次祭に参拝してきた。練習の合間を縫って「こどもおぢばがえり」に参加したことを、「教会の人たちとおぢばで楽しく過ごし、陽気ぐらしを実感した。でも正直なところ、当時は天理教の教えを全く理解していなかった」と振り返る。野球とひのきしんの高校3年間念願の天理高野球部に入部した中村さんは、腰痛に苦しんでいた。すると、教義科の先生が職員室でおさづけを取り次いでくださった。そのとき「身上回復を願うだけでなく、ご守護に感謝し、恩返しをしなさい」と諭された。以後、おさづけの取り次ぎを受けるたびに、心定めなどの教理を教えてもらった。「大会前や身上を頂いたとき、『何日間』と心定めをして本部神殿で参拝するようになった。その後も日曜の早朝にひのきしんをしたり……。いつしかチームメートも一緒に、おつとめやひのきしんをするようになった」また、野球部の生徒が「こどもおぢばがえり」のひのきしんに参加するようになったきっかけも、中村さんの提案だった。夏の甲子園予選と期間が重なるため、ひのきしんに参加できなかったが、「教祖100年祭の年で、みんな忙しそうだったので『僕たちもやります』と申し出た。それからは、夏の大会後のひのきしんを終えてから休みに入るのが“部のルーティン”になった」という。さらに、中村さんは年末年始に帰省した際、所属教会に泊まり込み、当時、教会長後継者だった中隈禎昌・宮ノ陣分教会長とひのきしんに励んだ。教えに親しむ高校生活を送るなか、野球部員としては、恩師である橋本武徳監督(故人)のもと、1年の秋からレギュラーに定着。3年夏の甲子園では、主将として深紅の大優勝旗を手に親里へ凱旋した。名将と称された橋本監督は、7歳のころ父・良夫さんを亡くした中村さんにとって「父親のような存在だった」と述懐する。「人との接し方、野球に対する見方、物事の考え方など、すべてにおいて橋本監督の影響を受けている。いまの指導方法も、選手の自主性を重んじる“橋本流”を受け継いでいる」「教祖が喜んでくださるのなら」ドラフト2位で近鉄バファローズ(当時)の指名を受け、プロ入りを果たした中村さん。初の著書『選手と距離を置く理由』には、プロ野球選手になった折の契約金を、母トキエさんが所属教会にお供えしたエピソードも記されている。「『契約金はお母さんにすべて渡しているんだから、何に使ってくれても構わない』と言っていた私ですが、母が契約金から教会にお供えしていたのは、びっくりするほどの大金でした。(中略)しかし、巡り巡って人様のお役に立てているというのは、非常に嬉しいことです。こういう目に見えない不思議な循環を自分なりに経験しているので、選手たちには野球を指導するだけではなく、そういう部分にも目を向けさせ、成長させていきたいと思うのです」(『選手と距離を置く理由』から)また、年末年始の自教会での伏せ込みひのきしんは、プロ入りしてからも、しばらく続けていたという。プロ野球では、2軍で2度の打点王と3度の本塁打王タイトルを獲得。平成9年、11年間の選手生活にピリオドを打った。引退後、シニアチームの監督に就任したが、「しばらくは、独りよがりな指導だった」と反省する。中学生が分かる内容を意識した「指導のシンプル化」、自身と選手との間にコーチを置く「選手と距離を置く指導」など、指導者として試行錯誤を重ねていった。平成20年、天理大学硬式野球部監督に就任。26年、天理高野球部で3度目の監督を務めていた橋本監督のもとでコーチに就任すると、翌年に勇退した橋本監督の跡を継いだ。いま、前述の二つの指導方法を基本にした「選手ファースト」を掲げている。橋本監督に倣って、選手が自発的に考えるよう促し、県大会のメンバーは選手間の投票で決めているという。「選手には『技術だけでなく、学校、寮生活も頑張り、仲間に信用される人間にならないとだめだ』と伝えている」◇中村さんは数年前から本部神殿への日参を続けている。きっかけは、野球部の「白球寮」寮長を務める西尾弘喜さん(32歳・大狹深分教会長後継者)から「参拝に行ったら、教祖はすごく喜んでくださると思いますよ」と聞いたことにある。「恥ずかしながら、それまでは困ったときや願い事があるときに参拝する程度だった。しかし、『教祖が喜んでくださるのなら、私にとってもうれしいこと』だと思った」また、6年前のリオデジャネイロ五輪の際に、天理大柔道部OBの大野将平選手が“一日一善”としてごみ拾いを心がけていたことを知り、通勤時のごみ拾いを始めた。出張の際も宿泊先のホテルと駅までの間でごみ拾いをしており、「最近では外出するときに、家内が『ビニール袋、忘れているよ』と教えてくれるようになった」と笑う。一方「グラウンド掃除は、ひのきしんではない」ときっぱり。「お借りしている施設をきれいに使うのは当たり前。選手には、ひのきしんは別の部分で取り組もうと呼びかけている」「一手一つ」のチームづくりを目指し、中村さんは天理高野球部の指導に当たっている春のセンバツに続き、今夏の甲子園出場に期待が懸かる天理高野球部。中村さんが目指すのは、「一手一つ」の教えを体現したチームづくりだ。「高校球児の夢は“甲子園での日本一”。選手それぞれが力を発揮し、その力を一つに合わせられるように支えて、夢を叶えさせたい。選手が一手一つに、一生懸命に努力できる環境を整えてやりたい」文=内田和歩写真=根津朝也中村さんの著書『選手と距離を置く理由』定価=1,800円+税四六判/240ページ※道友社おやさと書店で取り扱っています恩師・橋本武徳監督との出会い、プロ野球界での奮闘、試行錯誤を続ける指導者人生を振り返りながら、天理野球のエピソードを中心に“選手が主役の自主性育成論”を綴っている。, 【東京・天理ギャラリー第176回展 中国古典名品展】5/15(日) 〜6/12(日) ※会期中無休開館時間午前9時30分~午後5時30分※入館は午後5時まで入館料入場無料会場東京天理ビル9階 天理ギャラリー(東京都千代田区神田錦町1‐9)劉夢得文集宋版国宝紹興年間(1131~1162)刊中唐の詩人劉禹錫(772~842)の詩文集。すべて揃った状態で現存する唯一の宋版。問い合わせ天理ギャラリー TEL:03‐3292‐7025天理図書館公式ホームページ, 【「依存症基本講座」(オンライン)のご案内 – 依存症たすけあいの会主催】日時5月24日 19時~20時半内容「依存症の基礎知識」、質疑応答形式オンライン講義(Zoom)対象依存症で困っている人、興味のある人受講費無料締切日5月22日備考講座の翌日に個別の相談にも応じます(要予約)【申込・お問い合わせ先】Eメール:[email protected]下記の申込事項を明記の上、メールにてお申し込みください。※原則としてメールのみのお申し込み・お問い合わせとなります。【申込事項】1.参加希望日2.氏名/ふりがな3.年齢4.電話番号5.直属・所属教会名後援団体:ひのきしんスクール(布教部社会福祉課内)TEL:0743‐63‐2314上記への連絡はお問い合わせのみとし、折り返し「依存症たすけあいの会」のスタッフからお電話いたします。, 【3年ぶり会場に笑顔 心一つに“実動の日” – 全教一斉ひのきしんデー】コロナ下、3年ぶりに会場に集まって実施した支部が多かった立教185年「全教一斉ひのきしんデー」。“実動の日”は全国的に雨模様となり、地域によっては激しい雨に見舞われたものの、各地の海岸、公園、景勝地、公共施設などでは、笑顔でひのきしんに励む教友たちの姿が見られた。海岸の環境保全にひと役 – 宮崎・延岡支部延岡支部の教友たちはカッパや傘を持参し、海岸に漂着した流木やプラスチックごみなどを丹念に拾い集めた(宮崎県延岡市の方財海浜公園で)宮崎県東側の日向灘を望む美しい白浜が、7キロにわたって続く長浜海岸。その北側に位置する方財海浜公園(延岡市)で、宮崎教区延岡支部(野村祐輔支部長)の教友52人が海岸の清掃に取り組んだ。平成3年、同支部は「ひのきしんの会」の名称で市のボランティア協会に登録。行政や市社会福祉協議会と連携して、台風などの自然災害で被災した家屋の復旧作業や身体障害者のサポート、福祉バザーや福祉運動会の運営に協力するなど、地域社会に根差した活動を繰り広げてきた。また、同じ時期から支部内を四つのブロックに分け、障害児・者支援施設「ひかり学園」や延岡植物園などで毎月、支部活動を続けている。こうしたなか、市教育委員会と連携し、県の天然記念物であるアカウミガメの有数の産卵地である長浜海岸の環境保全のため、12年前から同海岸を「デー」の会場としてきた。今年は、コロナ下の感染拡大防止対策として、この海岸北部に位置する方財海浜公園や延岡植物園など4カ所に分かれて実施した。午前9時45分、前夜から降り続く雨で肌寒い日和のなか、カッパや傘を持参した参加者たちは、ごみ袋を手に、海岸に漂着した流木やペットボトル、プラスチックごみなどを丹念に拾い集めた。参加者の一人、船ヶ山奈都代さん(42歳・東臼杵分教会ようぼく・宮崎市)は子供3人を連れて参加。「多くの教友と一緒にひのきしんをさせてもらうことが、子供たちにひのきしんの態度を伝える機会にもなっている。子供たちの日常の信仰実践につながれば」と言って微笑んだ。野村支部長(57歳・東延岡分教会長)は、「3年ぶりに会場を設けてひのきしんデーを実施し、勇んで報恩感謝の汗を流すことができた。今後も『ひのきしんの会』の活動を通じて社会貢献に努め、天理教の存在を広く認知してもらえるように働きかけていきたい」と話した。大型連休初日に観光地で – 京都・右京支部京都・右京支部の教友たちは、大型連休初日の早朝に渡月橋周辺でごみ拾いと草抜きを行った(京都市の嵐山公園中之島地区で)京都有数の観光地・嵯峨嵐山。「嵐山公園」は、春はサクラ、秋はモミジの名所として知られている。なかでも同公園「中之島地区」は、大堰川の中州を成す島。慶長11(1606)年に京の豪商・角倉了以が現在の場所に原型を架橋したという渡月橋の南側に広がり、国内外を問わず、一年を通じて多くの旅行者らが訪れる。京都教区右京支部(木村真次支部長)では、20年以上前から支部活動として同公園のほか、管内の病院で毎月ひのきしんを続けている。今年の「デー」に向けては、教区報と支部報で案内したほか、管内の教会へチラシを配布。さらに、同支部のLINE公式アカウントでも広く参加を呼びかけた。当日は雨天のため、管内5カ所の会場のうち3会場で実施。中止を余儀なくされた会場の情報は「教区・支部情報ねっと」にアップしたほか、LINE公式アカウントでも伝達するなど、迅速な情報共有に努めた。大型連休初日となる「デー」当日。観光客が訪れる前に同公園を清掃しようと、同支部は午前7時半にひのきしんをスタート。いまにも雨が降りだしそうな曇天のなか、61人が参加し、ごみ拾いと除草を行った。木村支部長(51歳・芦明徳分教会長)は、「昨年は緊急事態宣言下とあって中止を余儀なくされたが、今年は〝京都の名所〟をきれいにすることができて、ありがたかった。今後も常時活動を継続し、支部につながる教友たちと共に、教祖140年祭に向けて勇んで歩みを進めたい」と語った。“大都会のオアシス”美化 – 東京・新宿支部超高層ビル群の谷間にある公園で清掃に励む教友たち(東京都新宿区の新宿中央公園で)超高層ビル群の谷間に緑が広がる“大都会のオアシス”で教友たちが報恩感謝の汗を流す――。東京教区新宿支部(金丸初郎支部長)では、新宿区の「新宿中央公園」でひのきしんを実施した。月に一度、区と連携しながら同区歌舞伎町でごみ拾いをするなど、ひのきしん活動を積極的に行っている同支部。3年ぶりの実施となる同公園での「デー」に向けて、200部のチラシを作成し、『天理時報』の手配りひのきしんの際に配布した。「デー」当日は厚い雲に覆われる天候のなか、123人の教友が参集。参加者たちは、園内の除草作業に励んだほか、ペットボトルや空き缶などを拾い集めた。また、ひのきしんの様子を見た教外の若い夫婦が、「私たちも参加していいですか」と教友に声をかけ、飛び入り参加する場面もあった。同公園で「デー」を実施するようになった平成21年から、区役所と折衝してきた志田雄一郎さん(54歳・本理世大教会ようぼく・新宿区)は「毎年、教友たちが園内の隅々まで清掃することに、区役所の担当者も喜んでおられる。久しぶりに実施できて、ありがたかった」と話した。市と連携して実施 – 静岡・東伊豆支部静岡教区東伊豆支部(長澤三郎支部長)は、10年前から市と連携して「デー」を実施。毎年夏に多くの観光客が訪れる伊東オレンジビーチ(伊東市)の清掃に努めた。同支部では、「支部内のすべてのようぼく、信者に声がけを」という教区の打ち出しを受け、「デー」に向けて管内のようぼく・信者宅を1軒ずつ回ってチラシを配り、「デー」への参加を呼びかけてきた。午前9時、48人の教友が参集。市から支給された軍手を着け、砂浜に打ち上げられた漂流物を拾い集め、除草作業にも勤しんだ。集めたごみは、市の収集車によって回収された。未信仰の友人を誘って参加した髙橋三代子さん(67歳・伊東分教会ようぼく・熱海市)は「友人も楽しみながら、ごみ拾いをしてくれた」と笑顔を見せた。施設の車いす清掃 – 愛媛・宇和島支部愛媛教区宇和島支部(武内末博支部長)では、宇和島市の特別養護老人ホーム「光来園」で車いすの清掃を行った。同支部は、約25年前から同施設でひのきしんを継続。以来「デー」を含む年2回、車いすや屋内の清掃、施設周辺の除草などを行っている。当日午前9時、31人の教友たちがタワシや雑巾を手に車いすの清掃開始。細かい部分は歯ブラシを使って汚れを落とすなど、1台ずつ丁寧に磨いていった。この日、清掃した車いすは75台。施設の職員は「天理教の皆さんが定期的に清掃してくださるおかげで、利用者の方々も気持ちよく利用できている。職員だけでは車いすの清掃にまで手が回らないので、本当に助かっている」と語った。長年のつながり大切に – 兵庫・西浦支部兵庫教区西浦支部(平川信矢支部長)では、淡路市の県立淡路文化会館で清掃作業に取り組んだ。同支部は約40年前から、この施設でひのきしんを続けてきた。こうしたつながりから、「教祖130年祭ようぼくの集い」の会場や、学生会活動の宿舎として同施設を使用するなど、緊密な関係を築いている。今年の「デー」に向けて、「教区・支部情報ねっと」の支部ページへとアクセスできるQRコードを記載した独自のチラシを作成。管内のようぼく・信者に配布し、参加を呼びかけた。当日は激しい雨が降るなか、43人が参集。施設内の窓ふきや清掃に和気あいあいと取り組んだ。平川支部長(71歳・神喜分教会長)は「多くの教友の真実のおかげで、お世話になっている施設をきれいにすることができた。長年のつながりを大切にしつつ、地域との連携を一層図っていきたい」と話した。