天理時報2022年4月20日号2面
おたすけのためのひのきしんスクールシンポジウム「支えられていた人」が「支える人」に変わる社会へひのきしんスクール(村田幸喜運営委員長)はこのほど、シンポジウム「たすけあいの場は無限大―いま地域でできること」をオンラインで開催。今回は、新型コロナウイルス感染症防止対策として、事前に収録した映像を期間限定で配信する形で行われた。このシンポジウムは、現代社会で深刻化しつつある「孤立問題」と向き合い、これからの地域におけるたすけあいのあり方について考えるもの。地域福祉の専門職が基調講演冒頭、あいさつに立った村田委員長は「ようぼくの使命は、おたすけにある」として、いまそれぞれの地域にはどのような困難を抱えている人がいるのか、彼らといかに接点をつくればいいのかなど、これからのお道のおたすけについて考え、動くきっかけにしていただきたいと話した。この後、大阪府豊中市社会福祉協議会の勝部麗子氏が「ひとりぼっちをつくらない」をテーマに基調講演した。平成16年、全国で初めて地域福祉の専門職「コミュニティソーシャルワーカー(CSW)」になった勝部氏。CSWは、制度の狭間にある個別の課題に対応し、地域で問題を共有しながら新たな支援策を検討する役割を担う。28年には、NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」で、勝部氏が地域からの声なきSOS”に向き合う様子などが紹介された。断らない窓口〟の存在勝部氏は冒頭、新しい地域共生社会を進めていくためのポイントに「一人も取りこぼさない」ことと「支えられていた人が支える人に変わる」ことの二つを挙げ、すべての人に居場所と役割をつくっていくことが大切だと話を起こした。続いて、日本は現在、社会的に孤立している人の比率が先進国の中で最も高いことを指摘。ごみ屋敷や孤立死、自殺、不登校、ひきこもり、虐待、薬物依存など、さまざまな問題の中心には社会的孤立があるとして、地域の中で支援を必要とする人が見つかっても、相談先が分からないために見て見ぬふりをするケースが少なくないと述べた。そのうえで、自分からSOSを出せない人のもとへ出向く「アウトリーチ」と、彼らを支える新たな地域の仕組み「地域づくり」に取り組むCSWが、断らない窓口〟になることによって、地域の人たちが安心して問題の掘り起こしに取り組むことができると語った。さらに、日常的なつながりを維持するためには〝場所〟が必要だとして、「天理教の各地の教会には、多くの方々が相談に来たり、心配な人たちが問題を持ち寄ったりできる。こうした衣食住そろった拠点があることは、人を救ううえで非常に重要だと思う」と話した。この後、新型コロナウイルス感染拡大がもたらした影響と、外出自粛下における孤独死や健康問題について話を進めた。その中で、豊中市で新たに始めた「ぐんぐんウォーク」などを紹介し、ソーシャルディスタンスを保ちながらも人と人とがつながるための取り組みが必要であると強調。また、支援が必要なときに、支える側の人たちが弱ってしまわないよう、支えられるだけの体力を残すことが非常に大切と語った。最後に勝部氏は、社会的孤立がますます進む現状を踏まえ、「人は、助けられるうちに、助けることができる人に変わっていける」として、ひとりぽっちをつくらないために、寂しい思いをしている人がいれば、心に寄り添い、支えてほしいと呼びかけた。この後、勝部氏、河合良信氏(東親分教会長)茶木谷吉信氏(正代分教会長)の3氏と、司会の山崎栄喜氏(ひのきしんスクール運営委員)が登場。山崎氏の質問に答える形でパネルディスカッが行われた。なお、今年のひのきしんスクールの開催予定が、下記QRコードから閲覧できる。|勝部麗子氏昭和62年、豊中市社会福祉協議会に入職。平成16年、コミュニティソーシャルワーカーになる。いわゆる“ごみ屋敷、など「制「度の狭間」への取り組みが認められ、同社協は21年度の「日本地域福祉学会地域福祉優秀実践賞」を受ける。28年から同社協福祉推進室長。おやのことばおやころ世界は、この葡萄のようになあ、皆、丸い心で、つながり合うて行くのやで。『稿本天理教教祖伝逸話篇」135「皆丸い心で」4年前、天理大学の業務でウクライナの首都・キーウを訪れる機会がありました。スラブの古都としての長い歴史を垣間見る街並み、真っ赤な校舎で有名なキーウ国立大学でのミーティン同国唯一の講社「島ヶ原卯来稲集談所」での参拝、かつて留学生として天理に滞在した人々との交流など、平穏な日々が懐かしく思い出されます。そのウクライナが、2月24日から始まったロシア軍の侵攻で一変しました。連日報道される悲惨で痛ましい映像を目にするたびに、心が痛み、天理に縁のある人々の安否を気づかう日々が、いまも続いています。その中には天理大の卒業生もいます。ある卒業生の女性は二人の子供と共に国外へ退避してデンマークに辿り着き、友人宅に身を寄せる一方、両親や兄弟は国内に留まり、ロシア軍の攻撃におびえながら生き長らえているそうです。そんななか、日本政府はウクライナ避難民の受け入れを表明し、動きだしました。地方自治体や企業からは60件を超える支援の申し出が寄せられるなか、天理市は、天理大の協力のもと、天理大の卒業生とその家族の受け入れを決定し、準備を進めています。ウクライナ避難民の受け入れについては、さまざまな意見がありますが、できることからたすけの手を差し伸べることが、いま求められているのです。そのためには、世界中の人々が、れつ兄弟姉妹として、丸い心でつながり合い、たすけ合うことが不可欠です。一日も早い終戦と戦時下の人々のたすかりを祈るばかりです。(足立)