天理時報2022年4月20日号8面
TenriSports[天理スポーツ]全日本学生柔道トーナメント初V天理大柔道部男子佐藤輝斗選手天理大学柔道部男子の佐藤輝斗選手(3年)は3月23、24の両日、天理大武道館柔道場で行われた「全日本学生柔道WinterChlalengeTournament」に出場。男子81㌔級で初優勝を手にした(写真)。柔道を始めたのは、5歳のころ。友人や親の勧めで、オリンピック柔道3連覇をなし遂げた野村忠宏さんが育った「豊徳館野村柔道場」(奈良県広陵町)に通った。得意技は「小内刈」と「大外刈」。中学時代に「全国中学校柔道大会」を経験し、天理高校へ進んでからは、「足技だけでは勝ち上がれない」と投げ技の習得に励んだ。「大外刈」などに磨きをかけると、2年連続でインターハイ出場を果たした。その後、「これまで全国優勝は一度もなかった。だからこそ、もう一度頑張りたい」と天理大へ進学。自身が得意とする柔道は「相四つ」(お互いの引き手が同じ側)で、しっかりと組み合い、足技・投げ技を仕掛けていく形。一方で、引き手が逆になる「ケンカ四つ」を苦手としていたため、ケンカ四つで組み合う左組みの選手と乱取りを重ねて弱点の克服に努め、「高校のころよりも、積極的に技を仕掛けられるようになってきた」と自身の成長を分析する。昨年末、「全日本ジュニア柔道体重別選手権大会」に出場したものの初戦敗退。一層練習に力を入れ、スタミナの強化はもとより、試合展開に応じた戦い方を研究し、次の大会に備えてきた。初挑戦となる今大会。初戦を「大外刈」で一本勝ちすると、2回戦は全日本ジュニアで敗れた相手との再戦となった。「負けられないという強い思いと同時に、少しの緊張感があった」という佐藤選手。試合は延長戦にもつれ込んだが、得意の「相四つ」に持ち込んだ佐藤選「手が「小内刈」で一本勝ちを収めた。勢いに乗る佐藤選手は、その後も投げ技を駆使して決勝まで勝ち上がる。決勝戦の相手は、同じ天理大の先輩である山村陸斗選手(4年)。互いに手の内を知る相手とあって、技が決まらない時間が続く。序盤に互いに指導を受けて1-1となると、佐藤選手が「気持ちで負けないように」と積極的に前に出て技を仕掛け続けた。結果、1-3で指導勝ちとなり、初優勝を果たした。佐藤選手は「天理大学での試合ということもあり、気持ちの面でも思い通りの戦い方ができた。この結果に満足せず、次の『関西学生柔道体重別選手権大会』にも勝って、全国大会に出場し、優勝を目指したい」と話している。このほか、松川龍二選手(4年)が66㌔級で準優勝、山村選手が81㌔級で準優勝、池田凱翔選手(3年)が90㌔級で準優勝、濱中大地選手(同)が100㌔級で3位入賞、山口隆乃選手(同)が100㌔超級で3位入賞した。県新人大会V天理高バスケットボール部男子天理高校バスケットボール部男子は、先ごろ行われた「2021年度奈良県高校バスケットボール新人大会」に出場。3月30日に行われた決勝戦で、奈良育英高校を73-70の僅差で破り、優勝した。文芸連載小說ふたり【第2部】―波のきらめきに作/片山恭一画/リン第10話言葉を喋らない少年はじめて会った相手をじっと見つめるやつがいる。反対に目を合わせようとしないやつもいる。合わせてもすぐに逸らせてしまうやつ。きっと普通の育ち方をしなかったのだろう。子犬のころにいじめられたとか、狭い小屋のなかに閉じ込められて、ろくに散歩にも連れていってもらえなかったとか。そんなやつらは自分がどこかへ行ってしまう。この少年もそうだった。店に入ってきたときから、うつむいたまま顔を上げようとしない。他人と目が合うことを恐れているようにも、いま自分がいる世界を拒んでいるようにも見えた。わたしはトトを亡くしたばかりのころのカンを思い出した。虚ろな目をして歩きまわりながら、あの子もまた行方不明になった自分を探していたのかもしれない。カンは店をハハにたのんで二人を海に誘った。自分の車に乗せて、手近なビーチをめざした。冬の海は少し波立ち、太陽の光に輝いている。何人かのサーファたちが波乗りをしていた。多くはボードに跨って波を待っている。冬の日差しはありがたい。海に入って波乗りをすする連中にとって、太陽は冷えた身体を暖暖めてくれる大切な相棒だ。身体が暖まれば心も温まる。少年は波打ち際からサーファーたちを見ていた。冬のやわらかな日差しが彼を包んでいる。母親とカンは少し離れた砂地に腰を下ろした。母親は自分たちの身に起こったことを話しはじめた。そんなことがときどきある。ほとんど見ず知らずと言っていいカンを相手に、長く心の奥にしまっていたことを打ち明けはじめる。そういう不思議な力が、あの子にはあるらしい。少年の父親は大手企業のサラリーマンだった。母親とは職場で知り合い、結婚を機に彼女のほうは仕事をやめた。背が高くスポーツマンタイプの夫は、会社では女性社員のあこがれの的だった。そんな相手と一緒になれた自分は幸せだと思った。結婚して半年くらい経ったころから、夫はこれといった理由もなく大声でどなったり物を投げつけたりするようになった。ある日のこと、はじめて軽い暴力を振るった。会社で何かあったらしい。同じようなことが繰り返された。そのたびに彼女のほうは、この人も苦しいのだと思って我慢した。しかし理由のわからない子どもは情緒不安定になった。学校で落ち着かなくなり、授業中に突然大声を発したり、教室のなかを走りまわったりするようになった。それが収まると、今度は言葉を喋らなくなった。「ブログであなたの文章を読みました」。母親は波打ち際のわが子に目をやったままで言った。「一度お会いしてみようと「思って」「ふたり」のバックナンバーを道友社HPで公開中。登場人物の相関図や作者のプロフィールも閲覧することができます。下記QRコードからアクセスしてください。