天理時報2022年2月23日号8面
TenriSports[天理スポーツ]7年ぶり選抜大会へ教校学園高レスリング部天理教校学園高校レスリング部は、3月27日から29日にかけて新潟市体育館で行われる「全国高校選抜レスリング選手権大会」に出場する。現在、同部の選手たちは、同大会に向けて練習に励んでいる(写真)。昨年11月、奈良県予選会で9年ぶりに団体優勝を果たした同部。個人戦でも、小野旬喜選手(2年)が55キロ級、久米田忠裕選手(同)が71キロ級、小畑輝榮選手(同)が125キロ級で優勝し、黒岩香具楽キャプテン(同)が51キロ級で準優勝、大下理布選手(同)が60㌔級、妙見純平選手(同)が65キロ級でともに3位入賞。団体・個人での近畿ブロック予選会出場を決めた。ところが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で近畿ブロック予選会が中止に。その後、近畿ブロックの各府県予選会の優勝校および個人戦優勝者が全国高校選抜大会へ出場することが決まった。同部の同大会への出場は7年ぶり。未経験者を鍛え上げ同部の選手は高校からレスリングを始めた未経験者ばかり。選手たちを全国レベルまで鍛え上げているのが、同部のコーチ陣だ。レスリングの国際審判1S級の資格を持つ同校職員の小池邦徳さん(41歳)をはじめ、OBの現役選手たちが指導に当たっている。昨年末に開催された「天皇杯」男子グレコローマン82キロ級で準優勝した、同部OBの田中真男さん(23歳)もコーチの一人。「全国大会で格上選手との試合を経験することで、多くの刺激を受けられると思う」と話す。昨年の県予選会以降、同部では試合中のさまざまな状況を想定した実戦練習に取り組んでいる。田中コーチは「立ち技の技術は着実に伸びているので、ディフェンスを強化して自分たちの得意な体勢に持ち込むことができれば、全国の選手とも渡り合える」と自信をのぞかせる。また、個人戦に出場する3選手について、「投げ技とタックルが強み。組み手からタックルにつなげられれば善戦できると思う」(小野)、「攻守にわたって能力が高く、センスがいい。相手選手に力負けせず粘り強さもあるので、技に自信を持ってプレーしてほしい」(久米田)、「柔軟性とスピードが持ち味。もつれた状態からポイントを取られることが多いので、自分に有利な試合運びをするためにも積極的に攻めていくことが必要」(小畑)とそれぞれを評し、活躍に期待を寄せる。黒岩キャプテンは「『進』というチームスローガンのもと、昨日の自分よりも一歩でも前進できるよう、互いに支え合いながら鍛錬に励んできた。全国大会では練習してきたことを発揮し、まずは一勝を掴みたい」と意気込んでいる。世界レスリング連盟「審判委員会」に選出教校学園高職員小池邦徳さんなお、教校学園高職員の小池さんは先ごろ、世界レスリング連盟の「審判委員会」のメンバーに選出された。これにより、小池さんは今後、世界の主要大会における審判長をはじめ、審判員の選出や評価などを務める。小池さんは「〝天理レスリング〟の目的の一つに『他者への献身』を掲げている。この立場においても『他者への献身』を胸に務めを果たし、天理スポーツのさらなる発展に貢献していきたい」と話した。文芸連載小說ふたり【第2部】―波のきらめきに作/片山恭一画/リン第5話自分はひとりではないカンが写真を撮るのは、主に海に出かける早朝か、食材を仕入れるために省吾さんの農場へ向かう午前中だ。海や波や空の写真のほかに、植物や虫や小さな生き物たちの写真もたくさん撮っている。〈小学生のころ、ひとりぼっちと感じることがありました。そんなときは小さな自然に目を向けます。虫や草花や小鳥たち、海岸には潮だまりに閉じ込められた魚たちがいます。こうした生き物たちと言葉をかわしているうちに、自分はひとりではないと感じるのです。〉天気によって、また時刻によって、地上に降り注ぐ光は刻々と変わる。移りゆく光のなかで、海も空も草も木も輝きや色合いを変えていく。同じものは二度と現れない。何万年、何億年ものあいだに、たった一度だけ訪れれる。その一瞬にカンは魅せられれている。レストランのほうは一人で切り盛りしている。忙しいときには、パン屋のほうアルバイトの女の子にまかせてハハが加勢にやってくる。だから日曜の昼時などに、小学生くらいの子どもを連れた夫婦がレストランにやって来ても、ゆっくり話し相手をする暇はない。そもそもカンは、いまでも極端に口数が少ない。店で発する言葉といえば、「いらっしゃい」と「ありがとう「ございました」のほかには注文をたずねるくらいだ。昼の客が帰って一段落したころに、何時間も粘っていた親たちが、おずおずと話しかけてくる。そしてブログに書かれれていた話を、もっと詳しく聞きたがったたりする。文字を左右反対に書いたり、算算数がわからなかったり、時計が読めなかったりしたこと。とりわけ言葉を喋らなかったこと。そういう質問問に、カンはほとんど答えあいまいほほえない。ただ曖昧昧に微笑んでいるだけだ。親たちは落胆した様子で、ちょっと困ったように目を見交わしている。あの子は小型のタブレットを持ってきてテーブルに置き、退屈そうにしている子どもに自分が撮った写真を見せる。波や空のさまざまな表情、道端の草花や小さな虫たち。〈地面に根を張ったタンポポは、春になると黄色い花を咲かせ、やがて白い羽毛を開いて旅をします。遠くまで、遠くまで旅をするんですよ。〉子どもは自分でスクロールしてつぎつぎに写真を見ていく。何も言わないけれど、何かが届いていることが感じられる。いつのまにか親たちも一緒に見ている。帰っていくときには、親の顔も子どもの顔も、来たときよりもいくらかやわらいでいる。子どもは店のドアのところで「バイバイ」と手を振る。そんなときはカンも手を振って「バイバイ」と答える。「ふたり」のバックナンバーを道友社HPで公開中。登場人物の相関図や作者のプロフィールも閲覧することができます。下記QRコードからアクセスしてください。