天理時報2021年6月27日号8面
TenriSports[天理スポーツ]近畿大会連霸日本一めざす天理高軟式野球部天理高校軟式野球部は13日、京都府綾部市のあやべ球場で行われた「春季近畿地区高校軟式「野球大会」決勝で飾磨工業高校(兵庫)と対戦。1-0で勝利し、昨秋の近畿大会に続く2連覇を成し遂げた(写真上)。全国制覇を目標に掲げる同部。冬季はウエートトレーニングで体を強くするとともに、基礎練習に注力した。特に打撃面では、毎日1千回の素振りや、さまざまな球種への対応を強化する練習に取り組んだ。木田準也監督(39歳)は「コロナ禍の影響で例年よりも他校との練習試合が少なかった分、時間をかけて攻撃面の強化を図ることができた」と話す。一方、守備面では、試合中のさまざまなケースを想定したノックなど、実戦形式の練習で底上げを図った。投手陣は、1年時の秋から公式戦のマウンドに立つエース西山大智投手(3年)が引っ張る。さらに、コントロールが安定しなかった浅野隆乃介投手(同)はサイドスローへと投球フォームを変更。持ち前のスピードを維持したまま安定した投球ができるようになり、横山一彦投手(同)と共にブルペンに控える。5月2日から4日にかけて行われた「春季近畿地区高校軟式野球大会奈良県予選」では、全試合で大差をつけて勝利。近畿大会へ進んだ。迎えた同大会初戦で浪速高校(大阪2位)に6-0準決勝で東山高校(京都1位)に11-1と快勝し、決勝戦へ。決勝では、準決勝で比叡山高校(滋賀)に3-2と競り勝った飾磨工業高と対戦した。後攻の天理高の先発は横山投手。球の出どころが見えにくい投球フォームで相手打者を翻弄し、無失点に抑えていく。一方、天理打線も相手投手を打ち崩せず、スコアボードにゼロが並ぶ堅いゲーム展開のなか、六回裏、三番の岩井真斗選手(同)の左中間への強い打球がランニングホームランとなり、1点先制(写真左下)。その後、そうすけ井久保漱介選手(同)がスリーベースヒットを放ったものの、追加点を奪えなかった。八回表、浅野投手がマウンドに立つと、最終回まで相手打線を抑えてゲームセット。1-0と僅差のゲームを勝ちきり、同大会11度目の優勝を果たした。石井育郎キャプテン(同)は「全国制覇に向けて負けられない試合だったので、優勝できたことでチームに勢いがついたと思う。夏の全国大会に向けて、攻撃面をさらに強化し、チーム一丸となって、あと1点を取る力をつけたい」と話した。文芸連載小說ふたり星の降る夜は作/片山恭一画/リン前話のあらすじカンは毎日浜辺に出て、一生に一つだけ願いを叶えてくれる神社がある島を眺めていた。ツツたちが遭遇するであろう惨劇を予感し、なんとか回避したいという思いからだった。第27話宇宙の神秘に誘われ一学期の最後の日、学級担任は子どもたちに通知表を配り、夏休み中の諸注意を与える。いつもカンのことをかばってくれる若い男の先生だった。専門科目は理科で、とくに宇宙や星のことに興味があるらしい。その先生が島と陸がつながる話をはじめた。月が地球を引っ張る力と、地球が回転することで生まれる外側に引っ張られる力、この二つの力が合わさって、海面が盛り上がったところと、へこんだところができる。つまり潮の満ち干が生まれる。それ以外にも月と太陽の方向によって、一日のあいだで海がうんと盛り上がったり、うんとへこんだりする。これを大潮と呼んでいる。しかし大潮では島はつながらない。もっといろんな条件が加わらないと、歩いて渡れるところまで潮は引かない。「宇宙の神秘と言うべき不思議なことが、夏休みのあいだに起こりそうです。この機会に、先生はいろんなことを調べてみようと思います。みなさんも島が陸とつながっていく様子を観察して、夏休みの自由研究にしてはどうでしょう」カンは町の図書館へ行って潮の満ち干について調べた。満潮と干潮は一日に二回ずつあるらしい。その間隔はほぼ十二時間二十五分である。満潮が朝の八時なら、二回目は夜の八時二十五分になる。また干満の時刻は毎日五十分ずつ遅れていく。これは大変なことになった、とわたしは思った。一日二十四時間、真夜中も海を見張っていなければならない。一日に何度も砂浜へ出かけて海の様子を観察した。とくに注意したのは潮が引きはじめるときだ。いちばん大きく潮が引いたときに現れる砂浜の位置を、カンは注意深く観察して頭のなかに記録した。日を追うにつれて、潮の引き方は少しずつ大きくなっていった。やがて潮が引ききったときには、砂浜と島のあいだに砂や小石が現れるようになった。観察をはじめて十日ほどすると、海のなかにいくつもの砂地が顔を出した。しかし島と陸がつながるところまでいかない。宇宙の神秘はなお姿を隠したままだった。少し高いところへ登れば、海の様子がもう少しはっきり観察できるかもしれない。潮が引ききる時間帯を見計らって、わたしたちは山裾の棚田へ行ってみることにした。暑い日の午後で、ほとんどの生き物は昼寝をしている。目を覚ましているのは、大声で鳴きたてるセミくらいだ。棚田が雑木林に変わるあたりから、町と砂浜と海が一望できた。日差しをいっぱいに浴びた海は空っぽで、島は生き物たちと同じようにまどろんでいる。陸地に向いたほうに堆積した砂が、鳥の嘴ように白くとがりはじめていた。その先に細い一本の道が見えた。いまはまだ水のなかに身を潜めているが、いつ海面に現れてもおかしくない状態になっている。宇宙の神秘が姿を現そうとしているのだ。