天理時報2021年6月20日号6面
サーカス公演をライブ配信アメリカの吉川泰昭さんコロナ禍で面会が制限された施設に笑顔を届けたい――。天理市出身の吉川泰昭さん(42歳・教会本部ようぼく)がプロデュースする「OnlineCircusJapanFestival」(主催「OnlineCircus」)が6日、日本と米国ラスベガスからライブ配信された。吉川さんは、ラスベガスを拠点にラート(平行に固定した直径約2の鉄製リング2本の中に入り、バランスを取りながら回転させて演技する競技)とシルホイール(一輪のラート)のパフォーマーとして活躍。また、世界へ羽ばたく日本人パフォーマーをサポートすることを目的とした〝学び〟のコミュニティー「OnlineCircus」の代表も務める。「人に尽くす喜び」オンラインで広げ昨年、新型コロナウイルスの感染拡大により、劇場の休演やイベントの中止が相次いだ。こうしたなか、吉川さんは「『私たちのパフォーマンスを必要としている人が絶対にいるはず」との思いで活動の場を模索した末、たどり着いたのが、オンラインによるサーカスショーだった」と話す。父萬太郎さんと交わした「人のために尽くす喜びを広げる人に」との約束を果たそうと、パフォーマーとして活動してきた吉川さん。「OnlineCircusJapanFestival」の開催に向けては、クラウドファンディングを利用してショーを企画。「『ギフト』でつながるオンラインサーカス」をテーマに掲げ、支援者が自らのチケットのほかに、コロナ禍で人との面会が制限されている各施設や、普段会うことができない〝大切な人〟にペアチケットを贈ることができるようにした。「『おまえの一番のファンは、いつでもお母さんと私だ』という父の後押しのおかげで、どんなに苦しいときも乗り越えられた。不安な日々が続く中で、父との約束を果たすにはどうすればいいかと考え、思いついたのが『ギフト』でつながるオンラインサーカスだった」4月末にスタートしたクラウドファンディングには、約1ヵ月間で、307人から目標を超える金額が寄せられた。同Festivalは、10組の日本人パフォーマーによるコンペティションと、「OnlineCircus」のメンバーによるサーカスイベントの2部構成。当日正午から約4時間にわたり、趣向を凝らしたパフォーマンスショーが国内44の施設・団体へ生中継で配信された。吉川さんは「まずは無事に開催できたことを、親神様・教祖にお礼申し上げている。また、支援者の方々への感謝の思いは言葉にできないものがある。今回のつながりを生かして、今後は病院や施設で生活する人たちに笑顔を届けることを目的に『クリニックサーカス』を立ち上げ、さらなるチャレンジを続けていきたい」と話している。米国を拠点にパフォーマーとして活躍する吉川さん表彰地域の更生保護に力を尽くし法務大臣表彰北海道の近藤明雄さん清水町の近藤明雄さん(74歳・人舞分教会教人)は先ごろ、保護司としての長年にわたる更生保護活動に対して、法務大臣表彰を受けた。平成14年に保護司を委嘱されて以来、環境調整の保護対象者を担当。保護司の心得を学ぶ研修会などに積極的に参加しつつ、保護観察では月に3度の面接を継続して行い、対象者の社会復帰に力を尽くした。また、法務省が主唱する「社会を明るくする運動」強調月間の7月には、地域の小中学校へ出向き、子供向けの啓発活動にも従事事。。このほか、長年にわたって民生委員も務めるなど、積極的に地域の更生保護に努めてきた。近藤さんは「悲観的な考えを持つ対象者が多いなか、心の声に耳を傾けたうえで、お道の教えをもとに助言し、前向きな心になってもらえるよう心がけている。これからも、対象者が少しでも早く社会復帰できるように、おたすけの心で活動していきたい」と話した。(北海道・宮脇社友情報提供)よろずの美の葉作家澤田瞳子半径数メートルの常識最近、仕事のご縁があり、長崎市に時々お邪魔している。以前から数年おきに訪れていた大好きな土地ではあるが、海と山に囲まれた独特の地形と、江戸期を通じて日本の唯一の海外への窓だったという歴史ゆえに、幾度訪れても新たな発見と驚きがある。先日も長らく長崎に暮らす方から、「あれが娘の通う中学校です」と指さされて驚いた。この街に坂が多いことは承知していたが、背を反らして仰ぐほど高い山の上に白い校舎が見えたからだ。「自転車では通えませんね」「そりゃもちろん。あっ、長崎市内は大人でも自転車に乗れない人が多いんですよ」えっ、と今度こそ声が出た。すると傍らから別の方が、「僕は乗れません。妻は仕事で東京に住んだ時、警察が開催する自転車教室に通って乗れるようになりました」と仰り、二度仰天した。平成30年に自転車産業振興協会が行った自転車保有実態に関する調査報告によれば、1世帯当たり自転車保有台数は全国で長崎県が最も低く、0.556台。全国平均2台というから、自転車人口の少なさが如実に分かる。だが、それも当然だ。たとえ、私が暮らす京都は中心部がほぼ平坦なうえ、観光シーズンには道路が大渋滞するため、自転車愛用者が多い。そんな町の常識を、長崎のように坂が多く、渋滞とは無縁な路面電車が走る町のそれと同視するほうがおかしいのだ。にもかかわらず、自転車の話を聞いて目を丸くしてしまったのは、私自身が知らず知らずのうちに己の尺度で世間を見てしまっていたからだろう。実は我が家は夫と二人暮らしなのだが、それぞれ2台ずつ自転車を持っている。長崎の方からすれば、こちらのほうがおよそ信じがたい話というのに。もちろん、常識は日々を生きるうえで必要だ。しかしそれはあくまで自分の半径数メートル内で生じたものであることを、人は心の片隅に置いておかねばなるまい。きっとその常識の齟齬から生じるさまざまな出来事こそが、人生をより魅力的に輝かせるのだから。ちなみに大学時代、秋田から来た同級生は、「冬でも雪がない!自転車に乗れる!」とびっくりしていた。そう思うと生まれてこの方、京都から出たことのない私なぞは、自分でも気づいておらぬ常識に、さぞがんじがらめになっているのだろう。そう思うと、一度は見知らぬ土地に暮らしたいとの夢が広がり、実は長崎に行くたびこっそり不動産屋さんの店先の物件をチェックしてしまうのである。