天理時報特別号2021年10月号2面
心に吹く風の記茶木谷吉信ChakitaniYoshinobu1960年生まれ天理教正代分教会長教師・玉名市元教育委員「自分と未来」は変えられる「過去と他人は変えられない」カナダの精神科医、エリック・バーンの言葉です。この言葉がよく引用されるのは、ある人間の特性が見事に言い表されているからだと思います。つまり、人は往々にして、自分の不幸の原因を「過去と他人」のせいにしがちだということです。「過去をやり直すことができればなあ」「あの人さえ変わってくれればなあ」そうなれば、もっと幸せな人生を送れるのではないか。そう思ったことは私にも覚えがありますし、似たような経験をお持ちの方も多いと思います。私は、人が悩み事を心に受け入れ、浦化していかりやすく「起・承・転・結」と名づけてみます。まずは「起」です。悩み事のない人などいません。どんなに幸せそうな人でも、心の中に分け入ってみれば、悩み事の一つや二つは持っています。ここで、最初に述べた「過去と他人」が登場します。自分の悩みの原因を「過去と他人」に求めるのです。「あのとき、なぜああしなかったのだろう」「私が悪いんじゃない。あの人のせいだ」私は、これが悩みの初期段階、第一段階だと思っています。とはいえ、この初期段階で止まっている人のいかに多いことか。私のところに相談に訪れる人は、ほとんどそうです。しかし、残念ながら過去は変えられません。また、他人を変えようといくら忠告しても、それで自分の幸せは得られません。すべての面で自分の思い通りになる人など、この世に存在しないからです。たとえ一部分だけ変わっても、自分の思いと違う場面が出てくるたびに、また同じ悩みが登場します。こういうことが繰り返されると、自分の不幸を「過去と他人」のせいにすることを諦めて、次の段階、すなわち「承」の段階に入る人がいます。「これは私の宿命なのだ。抗っても無駄。受け入れるしかないのだ」一見、この受け入れ方は悟りの境地、達観の域に達したように見えます。しかし本当に、それで納得できますか?幸せになることを諦めて、心の底から真の元気が出てくるでしょうか。私はは、本当に悩み事を解決するには、ここからさらに二つのステップが必要だと考えています。一つは「転」、もう一つは「結」ですが、最後の結からまいりましょう。「結」とは何か。それは「過去と他人」の対極に答えがあります。「過去と他人は変えられない」。この言葉をよく吟味すると、別の意味が浮かんできます。