天理時報2022年11月23日号6面
【親子でアップデート – まんまる】四コマ漫画のもとになった寄稿「自分をアップデートする」(『With you』vol.49)は、下記URLから読めます。https://doyusha.jp/jiho-plus/2022/11/14/update/, 【親里の夜空に輝く“赤銅色の満月”】11月8日夜、月が地球の影に隠れる皆既月食が日本各地で観測。また、天王星が月の後ろに入る天王星食も同時に見られた。皆既月食と惑星食が同時に見られるのは日本では442年ぶりで、極めて珍しい天体ショーとなった。この日は親里でも、幻想的な“赤銅色の満月”が夜空を彩った。親里の皆既月食の様子をご覧いただけます。https://youtu.be/_Rwxsp82R7U, 【学修講師として学んだこと – 読者のひろば】田中一慶(36歳・岐阜市)今年の夏、「学生生徒修養会(学修)・高校の部」で初めて講師を務めた。期間中、受講生たちは一日の終わりに振り返りシートに記入する。ある日、シートを確認していたところ、多くの受講生が「みんなが優しい」と書いていたことが印象に残った。その後、講師の仲間に尋ねてみたところ、ほかのクラスでも同様に、周囲の人に優しく接してもらったことへの感謝を綴っている受講生が少なくないことが分かった。不思議に思った私は、その理由について仲間と共に考えてみた。その中で意見が一致したのは、「学修中は、人類のふるさとで教祖の温もりを感じながら、安心して教えを学ぶことができる。そんな親里の温かさを感じた受講生たちが、周囲の人に優しくする“良い流れ”を自発的につくっていったのでは」ということだった。一方、私たち講師の間にも、互いに協力し合う良い雰囲気があった。やはり、おぢばで仲間とたすけ合って過ごす中で、大きく成人させていただけるんだと、あらためて感じた。これからは、学修で学び得た経験を生かし、身近な学生さんたちにも信仰の喜びを伝えられるようぼくを目指していきたい。, 【我が身の軽率 – よろずの美の葉】先日、野良猫にひどく噛まれて怪我をした。数日前から近所をうろつく痩せた猫を見かね、保護しようとして失敗したのだ。立て続けに私の腕を噛み、引っかき傷まで残して逃げた元気さから見るに、猫の側にはそんなに心配する必要はなかったらしい。ただ猫の牙は細い割に長いため、傷は見た目は小さくとも深い。血がだらだら流れるにつれ、見る見る腕が腫れてきた。たかが噛み傷と思いつつも医者に向かうと、意外にも強い抗生物質が処方された。実は猫の口の中にはほぼ100%、パスツレラ属菌なる常在菌がいるらしい。この菌のため、人間が猫に強く噛まれると、患部に腫れや炎症が生じる。大抵は数日で軽快するが、免疫力が落ちていると関節炎や肺炎を引き起こす例もあるため、警戒が必要という。「その他にも、重症化すると敗血症を起こす菌を保有していることもあるので、たかが噛み傷と思わないでくださいね」と医者に念押しをされて帰路についたが、数日間は両手指がぱんぱんに腫れ、パソコンのキーボードを叩くのにすら苦労した。動物由来の病気と言えば狂犬病が有名だが、日本史上、はっきりとした狂犬病の記載は案外新しく、江戸時代のものとなる。ただ8世紀初めの法典『養老令』雑令には、「家畜が人を突いたなら、両角を切れ。人を踏んだなら繋げ。人をかじったなら両耳を切れ。狂犬がいれば、殺すのを許可するように」との記載がある。狂犬病を患った犬は、誰かれの見境なく噛みついて吼え続け、怪我を負ってもなお暴れ回るという。雑令の「狂犬」を狂犬病を患った犬と解釈すれば、日本にはかなり古くから狂犬病が存在していたこととなる。鎌倉時代に記された『雑談集』という説話集には、「犬に噛まれた時には虎の骨で撫ぜると痛みがなくなる。虎の骨がない時は、『虎来虎来』と唱えて撫ぜるといい」と記されている。噛んだのが狂犬病の犬とすれば、これでは到底命は助かるまいが、昔の日本ではこんな禁厭が必要なほど、犬に噛まれる例が多かったわけだ。狂犬病による人間の死亡記事が近世まで見つからないのも、それがあえて記録する必要がないほどありふれた事柄だったからとも考えられる。そう思えば、どんな動物に噛まれてもすぐ治療が施される現代社会をありがたく感じる一方で、迂闊に野良猫に手を出した我が身の軽率が悔やまれる。次に似たことがあった時は、せめて怪我だけは負わぬよう気を付けたい。作家 澤田 瞳子