おやのことば・おやのこころ(2021年12月15日号)
信心は、末代にかけて続けるのやで。
『稿本天理教教祖伝逸話篇』41「末代にかけて」
NHK朝の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」が静かなブームです。昭和から令和までの時代、ラジオ英語講座とともに生きた3世代のヒロインの物語ですが、特に先月下旬に放送された戦中から終戦にかけてのくだりは、涙なしには見られませんでした。
敗戦が色濃くなるなか、ヒロイン・安子の周りの男たちに次々と召集令状が届き、出征していきます。実兄も、家業の和菓子屋の職人たちも。ついには学徒動員で出征する直前に夫婦となった大学生の夫までもが。その背中を見送る安子や家族の姿が、あまりにも悲しくて切なくて……。
そのシーンに、10月末、享年96歳で出直した父の姿が重なりました。安子と同じ大正14年生まれの父は、天理外国語学校(当時)在学中に学徒動員で出征。満州で終戦を迎えるも、シベリアへ連行され、極寒の地の炭鉱で強制労働に従事します。戦友たちが病や事故で次々に亡くなるなか、数々の不思議を見せられて、3年後、無事に復員を果たしました。そして、こう悟ったのです。「初代からの信仰のおかげでたすけられた――」
もし父が、安子の夫のように彼の地で命を落としていたら、私たち子供はもとより、孫や曽孫も、この世に存在しなかった。所属教会の理の栄えもなかった。そう思うと、初代から始まり、3代の父を経て私たちに受け継がれたこの信仰を、子供、孫、曽孫、さらには末代へ伝えていかなければならない。父の出直しに際して、その思いをより強くしました。
(あ)