第74回岩手日報文化賞受賞 – 高田和徳さん
世界遺産登録に大きく貢献
今年7月に世界文化遺産に登録された「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産の一つである、岩手県一戸町の御所野遺跡。「御所野縄文博物館」の館長を務める高田和徳さん(71歳・東南分教会信者・岩手県一戸町)はこのほど、同遺跡の調査研究や普及啓発に尽力し、世界遺産の登録の実現に大きく貢献した功績が認められ、第74回「岩手日報文化賞」を受賞した。同賞は、各分野で功績のあった岩手県内の個人や団体を顕彰するもの。
北海道、青森県、岩手県、秋田県の4道県に点在する17の縄文遺跡で構成されている「北海道・北東北の縄文遺跡群」。縄文時代草創期から晩期にかけての多様な遺跡を含んでおり、縄文時代(約1万5000年前~約2300年前)を総合的に捉えることができるのが特徴だ。
なかでも、約5000年前から800年間にわたって存在したと考えられる大規模集落の御所野遺跡は、縄文社会の移り変わりを分析するうえで極めて重要とされる。
太古から受け継がれる“祈り”
平成元年から御所野遺跡の発掘調査に携わってきた高田さんは、14年の御所野縄文博物館のオープンに伴い、同館館長に就任。およそ30年にわたり、調査研究や史跡公園の整備や縄文建物の実証的復元などに取り組んできた。
高田さんは、同遺跡の特徴について「800年間の後半は、各集落から人々が集い、祈りを捧げる“祭祀エリア”としての色合いが濃くなっていった」と解説する。
その背景には、縄文時代中期から後期に始まった、気候変動による寒冷化がある。これにより、食糧難などから人口減少が進み、自然への畏怖の念から祭祀や祖先崇拝などの「祈り」を重視する傾向が見られるようになり、各集落から人々が集まる「環状列石」と呼ばれる祭祀施設が出現した。
高田さんは「当時の人々は、自然に生命が宿ると考え、儀礼や祭祀を通して自然への感謝を捧げたり、死者を墓に埋葬して弔ったりした。“祈り”の心を大切にする日本人の習慣は、いまを生きる私たちの心にも脈々と受け継がれていると思う」と話す。
また高田さんは、このたびの受賞について、「世界遺産の登録が実現できたのは、ひとえに多くの方々に支えていただいたおかげ。30年間、人に恵まれてきたことを誇りに思う」と語った。
御所野遺跡ホームページは下記URLから閲覧できます
https://goshono-iseki.com/index.html