このさきハせかへぢううハどこまでも
よふきづくめにみなしてかゝる
「おふでさき」十号103
3月中旬、あるプロジェクトの視察で三十数年ぶりにエジプト・カイロを訪れる機会に恵まれました。
世界たすけの実現に向けて、未来のアラブ・イスラーム圏布教に備えるべく“アラビスト”を育成する――との壮大な計画が始動したのは教祖90年祭直後のこと。をやの大きな思いを胸に、その2期生としてエジプトへ派遣され、3年間の留学生活を送りました。
アジアとも欧米とも異なる“超”異文化に身を置きながらの留学生活は、驚きと我慢の連続でした。しかし、いつしか住めば都となり、その魅力に引き込まれたことに唖然としたものです。
三十数年ぶりに訪れたカイロは、大きく様変わりしていました。新興都市があちらこちらに建設され、高速道路や地下鉄、ショッピングモールが造られる一方で、埃っぽい街並み、今にも崩れそうな日干しレンガ造りの民家、ルールを無視した“我先運転”と酷すぎる交通渋滞などは昔と変わりません。その現実を目の当たりにして、なぜか懐かしがっている自分に気づきました。
再びエジプトを訪れることはないだろうと思い込んでいたこの三十数年間。その矢先に突如巡ってきた今回の再訪。古くからエジプトに伝わる「ナイルの水を飲んだ者は再びナイルに戻る」との諺の意味を、あらためて噛みしめるとともに、アラブ・イスラーム圏布教への夢の続きが始まる予感を覚えずにはいられません。
(足立)