“寄り添う心”の大切さ学ぶ ‐ 記者がゆく Vol.6 手話通訳ひのきしん者養成講習会
親里で開催される研修会や講習会を記者が実地に体験し、感じたことを交えながら報告するシリーズ企画「記者がゆく」。第6回は、2月19、20の両日に開催された「手話通訳ひのきしん者養成講習会(前期)」を、入社1年目の新人記者が体験受講した。
布教部社会福祉課(村田幸喜課長)が主催する同講習会は、教内の聴覚障害者からの通訳依頼に応える“手話通訳ひのきしん者”を養成するもの。
記者は大学時代、耳の不自由な人に駅のホームで道を尋ねられたことがあるが、うまく説明できなかった。今回は、耳が聞こえない人に頼られた際の対応を学ぶつもりで、会場へ向かった。
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初日に受講したⅠ部(初級)では、手話の基本を学んだのち、主に人名や固有名詞の表現に用いる「指文字」の講習に移った。講師は、五十音一つひとつに当てはまる手の形を、解釈を交えつつ解説していく。最初はついていけるかどうか不安だったが、楽しみながら受講できた。
受講者の手話に“気づき”
二日目は「教語の手話」の紹介。「おてふり」を表す手話に、てをどりの「勇みの手」が当てられていることが興味深い。その一方で、教語の説明を聞くうちに、自分自身の日ごろの勉強不足を痛感した。
その後は、簡単な日常会話を一人ずつ手話に訳すことに。
記者に与えられた課題は「姉は3年前に結婚し、いまは大阪に住んでいます」という一文。意味が正確に伝わるよう丁寧な手話を心がけたつもりだったが、相手に理解してもらうまでに時間がかかった。「手話は間違っていないのに、どうして?」と疑問が浮かぶ。
この後、ほかの受講者の手話を見ながら、ふと気づくことがあった。記者は、手話を正確にこなそうとするあまり、目線や手の位置が下がり気味になっていたのだ。「手話は一つの会話方法」ではあるが、相手に思いを伝えるうえで、何より“寄り添う心”が大切だということを学んだ。
この講習会で手話にふれたことで、これから学びを重ねていけば、自分にできるおたすけの手だてが一つ増えていくように感じた。
これからも『天理時報』の記者として、また一ようぼくとして、一人ひとりに寄り添う心を忘れず、“陽気ぐらしの情報”を正しく伝えられるよう努力したい。
文=久保加津真