おやのことば・おやのこころ(2022年3月23日号)
水を飲めば水の味がする。
『稿本天理教教祖伝』第三章「みちすがら」
親神様が結構にお与え下されてある。
3月上旬、郊外にある姉の家を訪れた際、敷地の一角に群生している土筆が目に入りました。旬には少し早いのでしょうが、程よく成長した“初物”を摘み取らせてもらいました。夕食の献立に加えられた土筆の卵とじは、独特のほろ苦さと卵の甘味がマッチしていて、わが家の食卓に春の彩りを添えてくれました。
栽培方法の改良や海外からの輸入などで、いまや多くの食材が季節を問わず手に入る時代ですが、その分「初物」「旬」といった意識が薄れてきているともいわれます。近年は食育の一環として見直される向きもありますが、身近な食を通して四季の移り変わりが感じられるのは、本当にありがたいことです。
あらゆる食材が親神様の旬のお与えであることは言うまでもありませんが、いくら目の前にご馳走が並べられても、自分の体調が整っていなければ、食材や料理の味を堪能できず、やがては食べごろを逃すことになります。昨今、新型コロナウイルスの自覚症状や後遺症の一つとして嗅覚や味覚の異常が取りざたされていますが、食べ物や飲み物を頂くときに、その物本来の香りや味がすることも決して当たり前ではなく、十全のご守護の賜物であることを忘れず、食前、食後の合掌に感謝の心を込めたいものです。
春分を過ぎれば、いよいよ春本番です。天気の良い日に子供たちと季節の草花を探しに出かけてみましょう。
(榊)