トーク・サンコーカン – 「民族スポーツ」と国際理解を語る
天理参考館(春野享館長)は先ごろ、公開講演会「トーク・サンコーカン」を同館2階ホールで開催。今回は「世界の民族スポーツ」をテーマに、講師の早坂文吉・学芸員が登壇し、各地のスポーツの儀礼的な特色について、具体例を挙げながら詳しく解説した。

早坂学芸員はまず、スポーツは、民族の歴史や文化と密接に関わる「民族スポーツ」と、文化を超えて広く世界で親しまれている「国際スポーツ(近代スポーツ)」の二つに分類できると指摘。「民族スポーツ」には、地域の文化が色濃く刻まれ、使用する道具にもそれぞれの社会や生活が反映されていると話した。
続いて、儀礼的な「民族スポーツ」について、参考館に常設で展示している実物の道具などを用いて詳しく紹介。その一例として、ラクロスに言及した。
ラクロスは元々、北米先住民族の儀礼の一環として始まった「民族スポーツ」だったが、時代を経て宗教的な部分がそぎ落とされ、現在では、各地で広く親しまれる「国際スポーツ」へ発展した、と説明した。
一方で、近年では自分たちのエスニシティー(民族性)を守るために、民族スポーツの大会を盛んに行っている地域、グループがあることについてもふれた。
最後に早坂学芸員は「自文化の伝統を守り発信する民族スポーツと、異文化の人々の交流である国際スポーツの両面を知ることは、国際理解を深めるうえで大変重要」と語った。