ぢばへの伏せ込み通算900回の節目 – 記者がゆく Vol.7 おやさとふしん青年会ひのきしん隊編
親里で開催される研修会や講習会を記者が実地に体験し、感じたことを交えながら報告するシリーズ企画「記者がゆく」。第7回は「おやさとふしん青年会ひのきしん隊」を取り上げる。今年3月をもって通算900回の節目を迎えた同隊を、入社1年目の二人の記者が、それぞれ1日体験取材した。
人のため尽くす喜び
本紙記者となって1年が経つ。初めは与えられた仕事をこなすだけで精いっぱいだったが、最近は心に余裕が出てきたように感じる。
この日、出動したのは24人。第100母屋前でラジオ体操をした後、2班に分かれてひのきしん現場へ。
記者が担当したのは、3月末に開催される「春の学生おぢばがえり」に向けて、神苑周辺に学生会のフラッグポールを設置する作業。二人一組となって、一本ずつ角度を確認しながら、長さ約5メートルのポールをきちんと設置していく。
春らしい陽気のなか、長袖の白い隊服が汗でにじむ。充実感に浸りながら、風になびくフラッグを眺めていると、子供のころ、親里各所に掲げられていた「こどもおぢばがえり」の旗を見てワクワクしたことを思い出した。
「親里に帰り集う学生たちのために、おぢばのにぎわいに花を添える」その御用だと思い直すと、ポール立ての何げない作業に喜びを感じている自分に気づいた。
ぢばへの伏せ込みを通じて、人のために尽くす喜びを再確認し、自分を磨く。こうした経験を糧に、日々の御用に喜びを見いだしながら、自らの信仰を一層深めたいと思った。
明日への活力を養う
一方、親里で8年間生活している記者。いまだ自発的にひのきしんに臨めない自分に、どこか後ろめたさを感じていた。今回の入隊を機に、ひのきしんの意義をあらためて学びたいと思った。
当日、8人の隊員と共にバスで向かったのは、天理教青少年野外活動センター「さんさいの里」。作業は、伐採された木の撤去から始まった。デスクワーク中心の生活を送る記者にとって、山道は不慣れだが、緑豊かな自然の中での作業は心地良い。
続いての作業は、敷地一帯に点在する植樹の点検。二手に分かれて植樹ルートを歩き回り、150センチほどの若木の状態を確認していく。
そのなか、ある隊員と話した。彼は以前、人間関係のもつれから10年ほど勤めた会社を退職し、修養科を志願。3カ月の修養生活を通じて自らを見つめ直し、その後、再就職した。今回のおぢばでのひのきしんは、新たな出発を決意した日を思い起こさせ、自ら勇み立つきっかけになっているという。
帰りのバスの中で、隊員たちに今後の予定を聞いた。「これから地元に戻って明日から仕事です」「この後も別の御用があります」。ひと息つく暇もなく、それぞれの日常が始まる。その顔は、いささかの疲労も感じさせず、晴れやかだった。
ひのきしんは、親神様への報恩感謝の行いと教えられる。それは同時に、「かりもの」の体を使わせていただける喜びを感じつつ、明日への活力を養う機会でもあると思う。そう気づいたとき、入隊前の胸のつかえが取れたように感じた。
文=数延研人、高田悠希
ひのきしん隊900回隊の出動の様子をご覧いただけます
昭和28年、中山正善・二代真柱様によって「おやさとやかた構想」が発表。翌29年、やかた普請に青年会の若い力を発揮しようと、「おやさとふしん青年会ひのきしん隊」が結成された。以来、親里各所でのひのきしんを中心に、ぢばへの伏せ込みの場、修練の場として今日まで活動を続けている。
一昨年からは感染症拡大防止対策として、従来の1カ月間の合宿生活から日帰り形式へと変更して受け入れを行っている。