おやのことば・おやのこころ(2022年4月13日号)
立毛の育つも、この世始めも同じ事、無い人間を拵えて、初めより、ものが言えたやない。
「おさしづ」明治20年8月23日
中国から伝来した七十二候という暦では、早春の暖かな雨が大地を潤すころを「獺祭魚」すなわち「獺(かわうそ)魚(うお)を祭る」という不思議な季節とされます。獺は魚をよく捕らえるものの、魚を岸にきちんと並べた後、なかなか食べようとしません。それが祭りの供え物のように見えたことから、獺が祖先の祭りをしているといって、この季節の名が生まれたそうです。
春は親神様のご守護に満ちた不思議な芽吹きの季節です。木々の枝が一斉に芽を吹き、固い豆は殻を破って発芽します。「引き出し」のご守護が春風とともに山河に行き渡るのです。
をふとのべのみこと様は、出産の時、親の胎内から子を引き出す世話や、世界においては、立毛(農作物)を地から引き出すことなど、引き出し一切の守護を下さいます。
先日、2歳になる孫が、音楽を長時間じっと聴き入る姿に、親は「音楽の才能があるのでは」と親馬鹿ぶりを発揮しているので、「どんな才能も、徳分も、引き出していただくご守護があってこそ」と、しみじみ親神様の懐住まいを思いました。
弥生は、陰暦で3月の異称です。その語源は、「いやおい」の変化とされており、「いや(弥)」は「いよいよ」、「おい(生)」は「生い茂る」と草木が芽吹くことを意味しています。
弥生は、今日の陽暦では4月ごろに当たります。おぢばでは、4月16日に「はえでづとめ」が厳粛に勤められます。
(橋本)