「天皇杯」レスリング82キロ級 準優勝 – 教校学園高レスリング部コーチ 田中真男選手
天理教校学園高校レスリング部コーチの田中真男選手(23歳・湯浅分教会ようぼく)は、昨年末に東京・駒沢体育館で行われた「『天皇杯』令和3年度全日本レスリング選手権大会」に出場。男子グレコローマンスタイル82キロ級で準優勝した。
中学まで柔道に打ち込んでいた田中選手。二人の兄が親里でレスリングをしていたことから、その背中を追うように教校学園高へ進み、レスリング部に入った。
腕が長く、柔軟性に優れる田中選手は、すぐに頭角を現した。1年生のとき「JOC杯ジュニアオリンピックカップ全日本ジュニア選手権」に出場。インターハイではベスト8の好成績を残し、日本代表として海外遠征に参加した。
その後、日本体育大学から声がかかり、五輪メダリストが多く輩出しているレスリングの名門へ進んだ。
チームメートは学年のトップ選手ばかり。「最初は周りの選手に全く勝てなかった。監督から『とにかく食らいついていけ』と言われ、毎日必死だった」と振り返る。黙々とハードな練習をこなし続けるなか、「たとえ泥臭い戦いになったとしても、勝ちにこだわることの重要性を学んだ」と話す。
こうした努力が実を結び、1年時から日本レスリング協会の強化選手に選ばれて合宿に参加。「反り投げ」など投げ技のバリエーションを増やしていった。
在学中「全日本学生選手権」と「全日本選抜選手権」で3位入賞するなど大舞台を経験した。さらに、同大の先輩である東京2020オリンピックのレスリング男子グレコローマンスタイル77キロ級銅メダリストの屋比久翔平選手の練習パートナーに抜擢され、国際大会などに同行した。「世界トップ層の戦いを間近に見ることができて、良い刺激になった」という。
伏せ込みながら挑戦続け
今年度から教会本部営繕部に勤務している田中選手。おぢばに伏せ込みながら現役選手として練習する傍ら、教校学園高レスリング部のコーチとして後輩を指導する。
「指導の難しさを感じる日々だが、これまでとは異なる角度からレスリングを見つめ直す機会にもなっている」と語る。一方で、自身の練習が週1、2回に限られるなか、「自宅で基礎トレーニングを積み、衰えないように努めている」。
天皇杯には、過去3度挑戦し、最高順位は5位。「大学を卒業して、ある意味で背負うものがなくなり、これまでよりも思いきりよく大会に臨むことができた」と話す。
初戦は2度の「リフト」(相手選手を持ち上げる技)を決めて10‐0の完勝。続く準決勝も、5‐3で勝ち上がった。
自身初の決勝戦の相手は、全日本選抜選手権などで優勝経験がある岡嶋勇也選手(警視庁)。序盤からリードを許した田中選手は、一矢報いようと必死に食らいつくものの0‐8で敗れ、準優勝となった。
田中選手は「やっと決勝へ進むことができ、入賞したことがとてもうれしかった。一方で課題も見つかったので、調整に励みたい」と話している。