人間も一緒だね – 成人へのビジョン23
2024・4/3号を見る
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これはここだけの秘密なのですが、自然現象を述べた後に「人間も一緒だね」と言うと、さも深い話や格言であるかのような雰囲気が出ます。そんな分かりきったことを、と言う向きもありますが、面と向かって公言するのは私が初だと思うので、世に知れる前に特許を申請したいと思います。
私が住む北海道の教会では薪ストーブで暖を取ります。朝起きて一番にすることは、灰を取り、火をつけること。月に一度は煙突掃除も。4月の中ごろまで欠かすことができません。そんな”薪の教え”を一つ。
「薪は乾燥しているほどよく燃える。2本あると互いの火を伝播するから燃えやすい。とりわけ一番大事なのは空気の流れ。空気の通り道がないと火は途絶える――このことは人間も一緒である」
どうでしょうか。
渇いた心、満足を知らぬ理想を求める青年の心はよく燃える。仲間がいると、なおよい。情熱は燃え移り、互いを高め合う。そして内にこもらず、外の新鮮な空気を吸うこと。現実の生、実社会での呼吸を大切にせよ――。
素晴らしい。
「信仰も一緒だね」バージョンもあります。これもなかなか、それらしい感じが出るから不思議です。薪の教えなど、そのまま若い信仰者へ向けたメッセージとして通用しそうですが、いかがでしょう。
実はこの「人間も一緒だね」は、私の文章の主成分の一つです。自然から人のあり方を学ぶ“人間も一緒だねメソッド”は、割と理にかなっていると思います。というのも、「人間も自然も同じ親神様のご守護の道筋によって、かくあらしめられている」と考えるからです。そこにはおのずと、両者に共通する理の働きがあるはずです。
その端的な証左が十全の守護の説き分けではないでしょうか。説き分けの一般的な形式は、「人間身の内の◯◯、世界では◯◯の守護の理」というものですが、「身の内」と「世界」が同じ守護の理のもとに語られています。ゆえに世界(自然)から学ぶことは多い。
特許を目論んでいましたが、親神様の教えは一れつ兄弟姉妹の大切な財産。火、水、風の無限の働きを前に、虚心に学び続けたいと思います。
可児義孝