家族の治まりの思案「陽気ぐらし」に向けて – ひのきしんスクールシンポジウム
2024・4/10号を見る
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ひのきしんスクール(村田幸喜運営委員長)は3月25日、シンポジウム「家族の治まりの思案」を陽気ホールで開催。各地から168人の教友が来場した。このシンポジウムは、時代とともに変化する家族の様相を受けとめながらも、家族が治まっていくうえで欠かすことのできない親神様の教えを求めつつ、教会やようぼく家庭ならではの家族の姿を見つめ、陽気ぐらしに向かう家族の治まりを思案するもの。
夫婦が治まれば子供の解決の糸口は見えてくる
講演では、永尾教昭本部員が登壇した。
永尾本部員は冒頭、25年にわたりヨーロッパ出張所の御用に携わった経験をもとに、フランスの家庭事情について話を進めた。その中で、同国での夫婦の離婚率は50%と非常に高く、原因の多くがDV(ドメスティック・バイオレンス)にあり、深刻な社会問題になっていることを説明。さらに、同国では婚外子率も高く、その要因の一つに、未婚カップルが婚姻と同様の権利を得る「連帯市民協約」があると話した。
さらに、こうした離婚率や婚外子率の高さは、同国のみならずヨーロッパ全体に見られるとして、「背景には、信仰者の減少による宗教の弱体化が関係していると思う」と指摘。「日本は義務教育の中で、知育、体育に加えて徳育を施してきたことに対し、ヨーロッパでは、各宗教の教会が徳育を担ってきたことから、宗教の弱体化によって、徳育が十分に行われなくなったのではないか」と自らの見解を述べた。
続いて、世界三大宗教であるキリスト教、イスラム教、仏教のそれぞれの教えにふれたうえで、本教のおつとめの意義に言及。その中で、おつとめは夫婦の絆を強め、自然と子供の信仰心が育まれていくとして、「夫婦関係の問題が少なくない今の時代こそ、おつとめを勤める意義を声を大にして伝えるべき」と語った。
この後、ヨーロッパ出張所時代に見聞きしたことや、これまで自身の家族や親族に見せられた節について述べたうえで、夫婦のあり方を示された『稿本天理教教祖伝逸話篇』32「女房の口一つ」、同137「言葉一つ」の二つの逸話を紹介。夫婦お互いが丁寧な言葉づかいで温かく接すれば夫婦間は治まっていくとして、「子供との関係に問題があったとしても、夫婦が治まっていれば解決の糸口は見えてくる」と話した。
最後に、永尾本部員は「ふうふそろうてひのきしん これがだいゝちものだねや」(十一下り目二ッ)のお歌を引用し、教祖は夫婦そろってひのきしんをすることの重要性と、夫婦でひのきしんに取り組めることの有り難さを思案するよう伝えられたとして、「夫婦が第一ということは、特におつとめに表れている。夫婦のあり方を教えていただいているわれわれが、家族の治まりを思案し、世界へ伝えていかなければ」と述べ、講演を締めくくった。
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この後、依存症や発達障害などについて四つの分科会が持たれた。