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知らなきゃ損する朝の値打ち – 心に効くおはなし


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いまは大人も子どもも折り目やけじめがなくなって、何事にせよ、だらしなく感じるのは、おばあちゃんの見方かしらねえ。

自然の世界でも、夏から秋になるのに何月何日からとはっきり区切れるわけではないけれど、やっぱり夏は夏、秋は秋でしょう。一日のうちでも、朝は朝、昼は昼、夜は夜、ちゃんと大きな区別があって、体もそのリズムで保たれている。そのけじめをないがしろにすれば、朝なら朝のすがすがしいさわやかさを逃してしまうことになる。

朝はもっと喜びにあふれて迎えなくては。なぜかといえば、夜は地球の半分をわざわざお日さまから隠して、昼間の活動で乱れたり、汚れたりしたところを、親神様が元に戻してくださる、いわば世界を造り替えてくださるのだから。朝、起きるということは、新しい世界にまた生まれ替わったということなのよ。息ができる、目が見える、足が動く、今日また新しい生涯を与えていただいた。これを喜ばずにはおれないの。

教祖の教えは、〝こうしなさい〞とか、〝しなくてはいけない〞とか、命令や禁止をなさるのではなく、物事の元の意味や成り立ちを説き明かして、『どうすることが一番理にかない、幸せになることか、よく思案しなさい』とおっしゃっているように、おばあちゃんには思えるの。朝起きについても、まず朝の値打ちをよく知ること。そうしたら、朝のうちに起きなきゃ損々、という気持ちになるわ。


(2014年・道友社刊)

『こどもの言い分』

芝太郎著(天理教はるのひ分教会長)

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