天理時報オンライン

教えを生かし「陽気ぐらし」へ – 最先端科学の研究者が若者へ贈るメッセージ


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2021・8月号を見る
定価770円(本体700円)
320ページ

遺伝子研究の世界的権威として知られた筑波大学名誉教授の村上和雄博士は、1983年、高血圧の黒幕である酵素「レニン」の遺伝子解読に成功し、世界的に脚光を浴びました。その取り組みと成果をまとめた初の著書『人間 信仰 科学』(道友社刊)の中で、村上博士は、天理教教会本部の所在地で、人間宿し込みの元なる場所と教えられる「おぢば」の地で生まれ育った生い立ちを明かし、研究現場において、天理の教えが十二分に生かされたと記しています。

その後、多くの著書を通じて、人間の膨大な遺伝情報を極微の空間に書き込み、しかも一刻の休みなく、それを働かせている親神様の存在を、「サムシング・グレート」(大いなる何ものか)という表現を用いて、世界中の人々へ分かりやすく伝えてきました。

今年4月に亡くなった村上博士を偲んで、同書のエピローグに記された、次代を担う若者へのメッセージを紹介します。

2007年、東京国際ブックフェアで行われた『陽気ぐらしの遺伝子』(道友社刊)出版記念トークショー

お道(天理教のこと)の教えは最先端科学の現場でも大きな拠り所となり、また偉大な力を発揮する。私はこのことを、社会のさまざまな分野で働いておられるようぼく(用木――さづけの理を戴いて親神の手足となって働く人)の皆さんに声を大にして訴えたい。どんな立場にあって、どんな仕事をしていようと、そこにお道の教えを生かしていくなら必ずうまくいく。素直に教祖のご存命のお働きを信じ、もたれていくならご守護が見えてくる。照る日・曇る日、嬉しい日・悲しい日もあるだろう。しかし、心を定め、人間のまことの親のぬくもりを感じながら進んでいくならば、きっと道は開ける。

いま、すでに天理教の信仰をしている人の中には、私を含め、世間的に結構なご守護を頂いている方も多いのではないかと思う。しかし、お道の教えは目前のご利益のみを願う拝み祈禱の信仰ではないはずである。「陽気ぐらしの社会」というのは、私が、私の一家が、私の研究室だけがしあわせになる道ではないし、また物質的に、世間的に結構な暮らしができることでもない。このことを私は、自分にあらためて言い聞かせたい。

これからの時代を背負って立つ若い世代の人々よ、教祖の教えを持ち場立場で生かしていこう。この教えが世界のいかなるところでも通じることを確信して、一歩でも前進しよう。

最先端のバイオテクノロジーの現場にいる、信仰者のはしくれの、これが若い人たちへ贈るメッセージである。


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