不思議の森のミツバツツジ – 山の辺の道 心の景
同僚のカメラマンが「とっておきの一枚」を見せてくれた。見事なミツバツツジが写っている。山の辺の道沿いで古墳を探索中、偶然出くわした光景だという。
「よく近くを通るのに、不思議にも、いままで気づかなかった」。彼は奈良の自然を30年余り撮り続けている。その男をして、こう言わしめるとは、自然は懐深いものだ。
以前、民俗学者の柳田国男と博物学者の南方熊楠の往復書簡を読んだ。各地の山姥や山男の伝承について真面目に論じる場面があり、その素朴さに思わず微笑むとともに、科学の発達に伴って、山に物の怪が跋扈する余地がなくなった今を寂しく思った。
しかし、そうではないのかもしれない。山に限らず、不思議なことや未知なものはいつもそばにあるのに、見ようとしなかっただけなのかも――まずは身近な不思議を探してみよう。その先に、思いがけない発見や出会いがあるかもしれない。
(J)
インスタグラム「山の辺の道 心の景」
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