天理時報オンライン

地獄ってあるの? – 身近で聞いた素朴な問いにWAKUさんがお答えします


イラスト/なんばなつこ

「保育園で『じごくのそうべえ』という絵本を読んでもらった娘が、『じごくってホントにあるの?』と聞くのですが、なんと答えたらいいか……。天理教の教えに地獄は出てきますか?」と、若いお母さんに尋ねられました。

その絵本は、落語がもとになっている面白いお話ですが、娘さんには少し怖く感じられたのかもしれませんね。

私が小学生のころ、友達から「嘘をついたら閻魔様に舌を抜かれる」と聞いて、驚いた覚えがあります。同時に、それは作り話だろうと思いました。親が子供に言うことを聞かせようと、地獄のイメージを使って脅かしているのだと。

地獄の教えは仏教だけでなく、キリスト教にもイスラム教にもあります。そのイメージは世の中に浸透していて、世界中の人が地獄を知っているとも言えるでしょう。日々の忙しさを「地獄のような毎日」と表現する人がいるくらいです。

天理教では、信仰している人が譬えとして用いることはあっても、死んでしまった後の世界に天国や地獄があるとは教えられていません。私たちは親神様の懐住まいをしている、ご守護に包まれて暮らしていると教えられています。これほど温かく安心なことはありません。

親神様を信じてもたれることで、たとえ地獄のようなつらい毎日でも、元気で働けてありがたいと、心次第で極楽のような境地を味わうこともできます。

やがて寿命が来て、この世での生を終え、お借りしている身体をお返ししても、魂は生き通しで親神様に抱かれていると教えられます。つまり、その懐に住まいしていることに変わりはないと思います。

そして、やがてまた親神様から新たな身体を借りて、この世に生まれ替わり、それぞれの境遇で陽気ぐらしを目指すお互いなのです。


西村和久(天理教一筋分教会長)