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痛さは、みんな違う – 心に効くおはなし


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昨年、色づく木の葉が北風に吹かれ始めたころ、四歳の里子・文也(仮名)を迎え、家族が一人増えた。

先日、文也が保育園から大泣きで帰ってきた。園庭で転び、ひじを擦りむいたという。傷を見ると、うっすらと血がにじむ程度。私は「たいしたことない。大丈夫、大丈夫」と頭を撫でた。すると、正夫(仮名)が「お父さん! 痛さは、みんな違うんだよ。こんな怪我でも、きっと文也にはすごく痛いんだよ」と言い、その言葉を受けて将太(仮名)が「そうだよ、お父さん優しくないなあ」と言い、子供たちから集中砲火を浴びた。妻はそれを聞きながら、笑いをこらえるように、文也の腕に絆創膏を貼った。

私は文也を受託してから、障害もさることながら、そのか弱い性格を心配していた。アウトドア派で生傷が絶えない将太と、つい比較してしまい、そんな将太のたくましさが文也にも備わればと思っていた矢先の怪我でもあった。

人はみな違い、同じ人は一人としていない。違いを指摘するのでなく、分かり合うことが大切だと、私は日ごろから子供たちに言ってきた。正夫から言われたことは、まさしくその違いであり、子供たちはそれを理解してくれているのに、肝心の私が分かっていなかったことに気づかされた。いつも生傷だらけの将太と文也とでは、怪我の痛みも明らかに違うのだ。私は子供たちに謝った。

『家族日和』

白熊繁一著(天理教中千住分教会長)

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