『天理時報』新年号が結んだ縁 「新婚さんいらっしゃい」出演 – 話題を追って
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天理高校時代の恩師が仲介役に
博士と医師の信仰と愛の物語
堤 元佐さん・直子さん夫妻
2024年、教内外で話題になった結婚3年目の“ようぼく夫婦”がいる。天理高校第1部2類(特別進学コース)を卒業し、顕微鏡のプロフェッショナルとして全国の研究者との共同開発に携わる堤元佐さん(38歳・熊本大教会ようぼく)と、産業医の直子さん(33歳・同)は2024年5月、人気長寿番組「新婚さんいらっしゃい!」(朝日放送テレビ)に出演。高校時代の恩師である天理高教諭の小川美和さん(57歳)がスタジオに駆けつけ、二人の“愛のキューピッド”になったことを明かすなど、夫婦にまつわる愉快なエピソードを披露し、大きな反響を呼んだ。この二人が縁を結ぶきっかけになったのは、実は天理時報の立教184年新年号だった――。出会いから4年、番組では語られなかった博士と医師の信仰と愛の物語を、天理時報ならではの視点で紹介する。
「今日の『新婚さんいらっしゃい!』は、博士と医師の純粋すぎる恋物語!」
これは、堤さん夫妻が同番組に出演した2024年5月放送回のキャッチフレーズだ。二人は、天理高校出身の“理系カップル”として番組内で紹介された。
夫の元佐さんは現在、愛知県にある国立研究所で顕微鏡の研究開発に打ち込む顕微鏡博士。一方、妻の直子さんは、滋賀県にある大手工業メーカーで従業員2,500人以上の体調管理に携わる産業医だ。「お互い仕事が忙しく、週末しか二人で過ごす時間をつくれないが、両親や高校時代の恩師など周囲からの支え、そして何よりお道の信仰のおかげで、日ごろから夫婦の絆を強めることができている」と元佐さんは話す。
初対面から惹かれ合い
二人が出会ったのは4年前。きっかけは、この年の天理時報新年号の新春特集「新世代の“はたらく”ようぼくたち」で、同じ紙面に二人が取り上げられたことにある。この記事を見て、二人の間を取り持ったのが、天理高校時代の共通の恩師である小川さんだった。
「『天理時報』で同じ紙面に掲載されていた人を紹介したいのだけれど……」
元佐さんと直子さんが天理高校を卒業した後も二人と親交があった小川さん。5歳差の二人は在校中に接点があったわけではないが、「『天理時報』で見たとき、『あの二人、良いかも』という“長年の教員の勘”が働いた」と振り返る。
この後、小川さんの紹介で二人が連絡先を交換。当時はコロナ下だったため、Zoomアプリを使ってオンライン上で初めて対面した。
小川さんから事前に「直子さんは研究者に興味がある」と聞いていた元佐さんは、緊張もあって自身の研究について3時間にわたり熱弁してしまう。専門用語の“オンパレード”になり、失敗に終わったと思われたが、意外にも直子さんは好印象を抱いた。「研究に没頭する彼の一生懸命な姿が、純粋で魅力的に感じた」と。元佐さんも「真剣に話を聞いてくれる直子さんの姿に惹かれた」と話す。
番組出演に大きな反響
紙面掲載から2カ月後の3月、天理市内で念願の初デート。デートプランには、小川さん同席のランチタイムも設けられた。
元佐さんは「素敵な人を紹介してくださった先生に、お礼を伝えたかった」とはにかむ。
以後、数回のデートを経て交際。翌年3月、本部教祖殿で結婚式を挙げ、ようぼく夫婦として新たな一歩を踏み出した。
こうしたなか2024年5月、直子さんが応募し、夫婦で「新婚さんいらっしゃい!」に出演することに。番組では、馴れ初めや新婚生活のエピソードなどを語るとともに、サプライズゲストとして小川さんが登場。博士と医師の純粋すぎる恋模様に、スタジオは大いに盛り上がった。
放送後、堤さん夫妻のもとには、全国各地の友人や知人から連絡が相次いだ。さらに、番組内で紹介された元佐さんの研究内容を見た研究者から、共同研究の依頼が舞い込み、新プロジェクトもスタートした。
新たな家族と成人の道へ
研究者と医師という多忙な日々を送るなか、両家の講社祭には夫婦そろって参拝し、親神様・教祖に心をつないでいる。
直子さんは「両親や所属教会の会長さんが、私たちに信仰を伝えてくださるおかげで、何か困ったことが起きても、教えをもとに夫婦で談じ合うことができる」と話す。
さらに、堤さん夫妻の大きな支えになっているのが、小川さんの存在だ。3人のLINEグループを設け、結婚生活の中で新しい出来事があるたびに小川さんに報告するなど、いまも密に連絡を取り合う。
元佐さんは「高校時代、先生は私の将来に真剣に向き合ってくださった。そして、妻とも巡り合わせてくださった。先生に出会っていなければ、いまの自分はいない。本当に感謝しかない」と、恩師への思いを語る。
小川さんはこれまで、堤さん夫妻以外にも複数の教え子たちを仲介してきた。そこには「卒業生たちが互いに支え合いながら信仰の道を歩めるようになれば」との思いがあるという。
元佐さんと直子さんについて、小川さんは「卒業後も二人が信仰を心の支えにして日々を通る姿を知っていた。いまも幸せに暮らしてくれていることが、私の教員人生の中でかけがえのない財産になっている」と語る。
◇
2024年、待望の第一子を授かり、12月に「をびや許し」を頂いた。2025年4月に出産を控えている。
今回の妊娠に至るまでに、さまざまな困難を経験した直子さん。心を倒しそうになるなか、元佐さんに支えられたという。「神様にもたれきって通る中で、自分一人で成し得ることは何一つないことに、あらためて気づかされた。結婚生活を通じて、夫婦で成人の道へと導かれているように感じる」と話す。
そんな堤さん夫妻に、小川さんは「それぞれの分野のスペシャリストとして活躍する二人の将来が楽しみでならない。生まれてくる子供と共に、家族3人で手を取り合って信仰の道を歩んでいってほしい」と期待を寄せる。
取材の最後、記者が今後の抱負を尋ねると、堤さん夫妻は口をそろえた。
「今年は夫婦そろって『教人資格講習会』を受講することを心に定めている。新たな命を授かり、ようぼく夫婦として日々の生活の中で、お道の教えを実践していきたいとの思いを強くしている。そして、この信仰を末代まで伝えていきたい」
文=久保加津真
写真=山本暢宏
『天理時報』立教184年新年号の、元佐さんと直子さんの記事をご覧いただけます。
https://doyusha.jp/jiho-plus/pdf/20250101_wadai-otte.pdf