加湿器の冬 – Well being 日々の暮らしを彩る 3
2025・1/22号を見る
【AI音声対象記事】
スタンダードプランで視聴できます。
暖房シーズンは加湿器のシーズンである。かけないでいると鼻がカサカサする。家には加湿器が二台あり、冬の間、居間とその他の部屋で使っている。
加湿器で面倒なのはフィルターの手入れだ。給水タンクから水を含ませ、風を当てることにより湿った空気を作り出すもの。形状はいろいろらしいがわが家の加湿器には、アコーディオン状に折った固い紙のようなものが内蔵されている。
このフィルターを放置すると、水アカが石灰状に固まって、加湿機能をいくらかけても、設定湿度まで上がらなくなる。半月にいっぺんはクエン酸で浸け置き洗いしないと。クエン酸が残ると匂うので、浸け置きの後さらに水洗い。
別の匂いが加湿器から漂うこともある。こちらは系統としては、絞り足りない雑巾のような匂い。フィルターにはカビや菌もつきやすい。重曹で浸け置き洗いして匂いを抜く。
できれば匂いのする前にカビや菌の増殖を防ぎたい。それには乾かすことだろう。二台を交互に使うようにし、スイッチを切った方のフィルターを出して、浴室の物干しポールにかけておく。
あるとき知人がエアコンのフィルターの話をした。エアコンをいくらかけても、設定温度まで上がらない。フィルターを掃除してみたら、たちまち効きがよくなったと。シート状のフィルターを引き出してみたら、メッシュの目を埃が詰まらせていたそうだ。「手入れってだいじね」と知人。
どきりとする。空気の出し入れをしているのは、加湿器もエアコンと同じこと。水用のフィルターと別に、埃取りのフィルターもあるはずで、そちらは何もしていない。
加湿器の背面にある空気の取り込み口の枠を外せば、これか。メッシュシートの一面を灰色の埃が被っている。たいへん! 外して掃除機でたんねんに埃を除去。
セットし直しスタートして「なぜ?」。湿度がまったく上がらない。四十パーセントに設定しているのに、表示の現在湿度は三十七、三十五、三十三とむしろどんどん下がっていく。謎すぎる。掃除したてで、性能がもっともよく発揮されるはずなのに。
「もしかして」。浴室へ行くと、ポールに水用のフィルターが。こちらをセットし忘れていた。湿った空気にならないわけだ。
スイッチを切るたび、つけるたびの出し入れ、ときどきの浸け置き洗い。もうひとつのフィルターの掃除と、いくつもの手入れが続くと思うと、溜め息が。
でもそれも永遠ではない。やがては暖かな春が来るのだ。