2024年度「公開教学講座」終了 – 天理大学おやさと研究所
2025・2/26号を見る
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天に届く「心の理」とは
天理大学おやさと研究所(井上昭洋所長)が昨年6月からオンラインで実施している「2024年度公開教学講座 信仰に生きる『逸話篇』に学ぶ(10)」が、先ごろ全6回をもって終了した。最終の第6講では、中西光一・研究員が『稿本天理教教祖伝逸話篇』144「天に届く理」を題材に講演した。
中西研究員は冒頭、逸話にある「御苦労」という言葉に言及。教祖にとって警察や監獄へ出向かれたことは苦労ではなく、積極的な布教活動としての意義があったとして、「おふでさき」や中山正善・二代真柱様のお言葉を引いたうえで、「御苦労」という表現は教祖にのみ使われるもので、信者には召喚や留置、拘禁などの言葉を用いて区別されていると話した。
続いて、逸話に登場する鴻田忠三郎の生い立ちを紹介したうえで、表題にある「天」と「理」の意味と関係性について持論を述べた。
そのうえで、この世界は親神の理と人間の心の理との結びつきによって成り立っており、「教祖は、人間の側からの結びつきのことを『天に届く理』という言葉でおっしゃっているのではないか」と指摘。逸話における教祖と忠三郎のやりとりを踏まえ、神様の御用に限らず、あらゆる場面で他者を思いやる心、人だすけの心で毎日を生きることで、その心の理を親神様が受け取り、結構なご守護をお示しくださると語った。
最後に中西研究員は、パンデミックや戦争など憂慮すべき出来事が続く現代において、「われわれ人間の心の理の使い方が、親神様に問われているのではないか」と述べ、講座を締めくくった。
2025年度は対面形式で「元の理」を新テーマに
2025年度の同講座は、「『元の理』の学術的研究とその新しい展開を求めて」の新テーマのもと、対面形式で実施される。今年4月から来年3月まで毎月25日午後1時から、同大研究棟3階第1会議室で行われる予定(1月のみ、ふるさと会館大ホール)。なお、第12回は「教学と現代」として開かれる。
※おやさと研究所のホームページから、2024年度「公開教学講座」のアーカイブ動画、および25年度の開催要項を見ることができる。
https://www.tenri-u.ac.jp/news/34976/
2025年度公開教学講座
ラインアップ
第1回 金子昭・研究員
「元の理」研究入門
第2回 中西光一・研究員
「元の理」の人種理論・平等思想
第3回 澤井治郎・研究員
「元の理」の社会思想
第4回 澤井真・研究員
「元の理」の見立て・象徴論
第5回 八木三郎・元研究員
「元の理」と福祉思想
第6回 尾上貴行・研究員
「元の理」と布教伝道
第7回 島田勝巳・研究員
「元の理」と天理教学
第8回 岡田正彦・研究員
「元の理」と「こふき」
第9回 森洋明・研究員
「元の理」と異文化理解
第10回 井上昭洋所長
「元の理」の人間学/人類学
第11回 堀内みどり主任
「元の理」のジェンダー論
第12回「教学と現代」
佐藤孝則・元研究員ほか
「元の理」の学際的研究の可能性