陸上女子400メートル 学生日本一に輝く – 天理大学陸上競技部 寺本 葵選手
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天理大学陸上競技部の寺本葵選手(4年)は、4月25日から27日にかけて神奈川県平塚市のレモンガススタジアム平塚で開かれた「2025日本学生陸上競技個人選手権大会」に出場。女子400メートルで初優勝に輝いた。
小学校のマラソン大会で1位になり、陸上競技部に誘われて、4年生から陸上を始めた。「走れば走るほど良い記録が出て、とても楽しかった」と振り返る。
実力をグングン伸ばし、6年時に「全国小学校陸上競技交流大会」女子100メートルで4位入賞。さらに、女子100メートルの兵庫県記録を残した。
中学では、2年時に「全国中学校陸上競技選手権大会」女子200メートルで6位入賞。キャプテンを務めた最後の年は、けがで予選落ちとなったものの、秋の「ジュニアオリンピック陸上競技大会」女子Aクラス200メートルで5位入賞した。
高校でも陸上競技を続けたが、2年生のときに両足の疲労骨折を経験。大会で結果を残せず、「身体的にも精神的にもつらかった。陸上をやめたいと思うときもあった」と吐露する。
大学最後のシーズンに自己ベストを次々更新
その後、体育教師を目指して天理大学へ。「これまでの距離では戦っていけない。体力には自信があるから」と、進学を機に400メートルを専門種目に決めた。
練習を重ねるなか、2年時に新型コロナウイルスに感染。その後遺症で右足の親指が長期間痛み、試合に出場できない時期が続いた。
それでも、昨秋の大会で「日本学生陸上競技対校選手権大会」に出場するために必要な標準記録を突破するなど、少しずつ記録を伸ばしていく。昨シーズンの自己ベストは56秒39を記録した。
迎えた大学最後のシーズン。これまでの「ペース配分を考えた走り方」から「最初からしっかりスピードを出す走り方」へと変え、奈良市で行われた「奈良市陸上サーキット」に挑んだところ、自己ベストを約2秒も更新した。
手応えを感じて挑んだ今大会。「最後の年の初挑戦。緊張もあったけれど、とにかく楽しもうと思った」
予選を経て、準決勝でも自己ベストを更新し、関東の強豪選手を抑えて1位通過した。決勝戦も、序盤からスピードに乗ると、ゴール直前でトップに立ち、54秒03でフィニッシュ。自己ベストをさらに更新し、初の学生日本一に輝いた。
寺本選手は「記録にも結果にも驚いた。やめようと思ったときもあったけれど、両親や仲間、先生たちのおかげで続けることができた。諦めずに続けてきて良かった」と喜びを語った。
なお、今大会に出場した同部の星場麗羽選手(4年)が女子100メートルハードルで3位、大西勧也選手(2年)が男子走幅跳で7位入賞した。
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寺本選手はこの後、5月11日に大阪市のヤンマースタジアム長居で開かれた「日本グランプリシリーズ大阪大会 第12回木南道孝記念陸上競技大会」女子400メートルに出場。社会人選手や海外選手もエントリーする同大会で、昨年度の「日本陸上競技選手権大会」優勝者の松本奈菜子選手(28歳・東邦銀行所属)に次いで準優勝。53秒70を記録し、自己ベストをさらに縮めた。
寺本選手は「結果を求めすぎるとしんどくなることもあるので、これまでと変わらず、楽しくチャレンジャーの気持ちを忘れずに、今後も記録を更新できたら」と話している。