時報俳壇(2025年11月26日号)-ふじもと よしこ選
2025・11/26号を見る
【AI音声対象記事】
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飛び石の飛び方思案のばったかな
大阪市 上田禮子
もみじ葉を手に乗せ母は幼子に
北九州市 岩谷典子
えのころぐさ回し魔法をかける子よ
今治市 仙波絹子
蓑虫の蓑ほどの家灯火よ
愛媛県 中山富貴
点滴の速度退屈秋の夜
京都市 西 加代子
蚯蚓鳴く妻補聴器の試聴中
札幌市 田森つとむ
戦なきこの地に生きて月今宵
豊川市 菊地美智代
秋晴れの妻と手分けてポスティング
名張市 霧道三明
新米を念入りに研ぐ音立てて
滝川市 加納千世子
八十年戦なくて棉の花
飯田市 水野千佐子
水の名の梨の多くて多汁なり
東京都 吉田柳哲
秋の風家族写真のセピア色
二戸市 高屋敷節子
柿の朱指に移りてまだ温し
天理市 高田悠希
この世に無し枝垂るる萩に優る花
天理市 北 をさむ
埋め尽くす勇心や秋の雲
和歌山市 西澤喜久治
秋茄子や今日もレシピを手放せず
堺市 加藤恵秋
秋大祭ぢばで迎へる夫の古希
高崎市 正田久美代
枕辺のテープに聞き入る秋大祭
市川市 小松富子
水道水いまだぬるまる九月尽
東京都 坂田鏡介
吊るし柿手入れするたび数の減る
久留米市 松岡友江
萩ゆれる生かされ米寿の朝づとめ
狭山市 平本トミ子
読み返す剣豪ものの夜長かな
江別市 杉山忠和
太鼓橋袂で仰ぐ星月夜
福岡市 山口騰水
六甲の山並みはるか鱗雲
瀬戸内市 楓 百合子
背番号一七番の案山子かな
横浜市 番家達也
街なかの静けさ七日神無月
川越市 井上麻里
秋深し老いし夫の修養科
町田市 鰐淵洋子
選者詠
さはり良きことばに酢茎買ひにけり
【評】
上田さん
バッタが次に飛ぶ石に迷っている様子。人の進むべき道を判断するときも同様ですね。ユーモアがあります。
岩谷さん
もみじ葉を手に乗せて幼子のようなお母さま。童唄など口遊んでいるのでしょうか。
仙波さん
えのころぐさを回して魔法をかけている子。遠心力による魔法を発見したのかも。
次回は、12月5日までの到着分から選句。投稿は新年に関する俳句3句まで。お名前(ふりがな)、電話番号、住所を付記のうえ、下記までお送りください。
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天理郵便局私書箱30号「時報俳壇」係
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