すきっとVol.39 – 特集 いまを生きる
明日の糧となるメッセージ満載
“光ることば”――特集テーマ「いまを生きる」から
「すきっとした気分で暮らすために」をコンセプトに、さまざまな分野の第一線で活躍する人たちが、その信条や人生訓を語るインタビュームック『すきっと』の最新第39号が12月1日に発売される。今号のテーマは「いまを生きる」。特集では、キーウ国立バレエ団・副芸術監督の寺田宜弘さん、サグラダ・ファミリア聖堂彫刻家の外尾悦郎さんらが、この時代への思いと今後の展望を披露している。ここでは、各コーナーから“光ることば”をピックアップする。
戦火の終息を祈り、キーウ・バレエ復興に日々を捧げて
寺田宜弘 キーウ国立バレエ団・副芸術監督
バレエは言葉を使いません。その代わり、表現するのです。バレエというのは美しいラインだけではだめで、プラス、自分の心で何を思っているのか。この二つの要素が一つになって本当の芸術になるんです。それが本当のクラシックバレエなんです。心は豊かでも、肉体が美しくなければだめ。この両方の要素を兼ね備えているのがウクライナ人です。だから、本当に世界の人々に愛されている。このウクライナの芸術がずっと続いてほしいと世界中の人々が望んでいるのは、そういうところだと思います。
いま、世界は非常に難しい時代ですよね。難しい時代だからこそ、世界中の人たちが一つになって、新しい時代を築いていくチャンスでもあると思うんです。芸術という豊かなものをサポートしながら、次代の子供たちに、より素晴らしい世界を残していくのが私たちの役割だと思っています。
オリジンはすべての根源“希望”は“勇気”のみなもと
外尾悦郎 サグラダ・ファミリア聖堂彫刻家
ガウディが言ったのは「人間にできるのは発見することだけだ」ということです。これは芸術家だけでなく科学者も同様です。発明はしていない。発明はだいたい失敗します。そして自分の思っていたものと違っていたところから、新たなものが見つけられてきました。私が言いたいのは、発見するというのは科学者も芸術家も同じで、本来あるべき答えを知らないだけなのです。だから私の仕事というのは、私が創り出したのではなくて、本来あるべきものが、たまたまそれまで無かったということです。私はそれを形にしているだけです。
私の言っていることは誰も言ったことがないので理解しにくいかもしれない。しかし、答えはあるのです。たまたま、われわれには見えない。それを「オリジン」と呼んでいいと思います。ガウディは、そこまで言っていないですけれど。
この人に訊く この人に会いたい この人に訊きたい
流儀は「楽しく、シンプルに」“手抜き”料理が家族の宝を紡ぐ
奥薗壽子 家庭料理研究家
いまの社会は情報過多の影響からか、何かにつけて正解と不正解、あるいは成功と失敗の二つに分けたがる傾向があるように感じます。
家庭料理でも、おいしければ成功で、まずければ失敗と考えがちですが、私はそうじゃないと思います。そこには一つの料理が出来上がったという事実しか存在しません。大事なことは、もっと別のところにあるのではないでしょうか。
たとえば、「きょうは何を作ろうかな」とじっくり考えて、「冷蔵庫に残っているあの食材を使おう」と思いついたことに価値があるのです。調理中に新しい発見をしたり、工夫できたりしたら幸せになれます。冒険したうえで、たとえ味が決まらなくても、「次はこうすればうまくいくんじゃないか」と思えたら、それは貴重な財産になります。そう考えれば、料理はもっと楽しくできるものなんです。
ヒューマン
ひとの心に植物植える「プラントハンター」植物で世界を変えたい!
西畠清順 プラントハンター
植物を扱ううえで大切にしているのは、植物に対して失礼なことは絶対にしないということです。
僕は植物のおかげで生活しています。日々、植物を育て、守り、時には命を頂くこともあるかもしれませんが、どんなときも目の前の植物に失礼のないよう、全力を尽くすことを心がけています。
人間の生活は、多くの植物の命を頂くことで成り立っています。ですから、もっと植物へのリスペクトを持ちたいですね。僕自身も心して、このことをみんなに伝えていきたい。
“植物は世の中のすべて”だと思っています。このテーブルや建物があるのは植物のおかげ。すべての生き物が生きていられるのも植物があってこそですよね。だから、植物を人間のものさしで測ることなんてできない。僕にとって植物は“すべて”なんです。
ご登場いただいたそのほかの方々
特集=今村翔吾/井上章一
連載=椎名誠/手嶋龍一/中江有里/黒川伊保子/片山恭一/小平尚典/市川新十郎/平葉子/羽成守/西薗和泉/岡田正彦/天野忠幸ほか
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