奥さんは”世界王者” 埼玉の岡庭冴美さん – 話題を追って
教会長の奥さんはボクシングの世界王者。国際ボクシング連盟(IBF)女子世界アトム級チャンピオンの花形冴美選手(本名=岡庭冴美さん・36歳)は、先ごろタイトルマッチに臨み、2度目の王座防衛に成功。夫・健さん(41歳・北葛分教会長)との結婚を機に、教会生活に入った冴美さんは、この試合をもって現役を引退した。世界の頂点に立った冴美さんが描く次のビジョンとは。
ボクシング王座を防衛し引退 修養科へ
「自分の力を出しきれた。ボクシングの世界に未練はない」。引退試合となるタイトルマッチを終えた冴美さんの表情は、晴れやかだった。
運動神経が良く、学生時代にサッカーやハンドボールなど団体競技に打ち込む一方で、人間関係の難しさを味わった。そこで「一人でできるスポーツを」と考える中で、ボクシングと出合った。
21歳のとき、自宅近くの花形ジム(花形進会長)に入門。大けがや4度の世界戦敗北を経験しながらも、プロ10年目の2018年、IBF女子世界アトム級王座を獲得した。
「”頑張りきることができない自分”を変えたかった。絶対に逃げない、と覚悟を決めて取り組んだ結果、夢を叶えることができた」
「自分を大切に」恩返しの人生を
冴美さんがお道の教えを知ったのは、世界の頂点に立った翌年の5月。知人の勧めで日本ボクシングコミッション(JBC)審判員の健さんと出会い、交際を始めたことがきっかけだった。
6カ月間の交際を経て19年11月に結婚。教会生活に早く馴染めるようにと、移動中などの空き時間を利用して「みかぐらうた」を覚えるとともに、月次祭の日には、コロナ禍で直会ができない代わりに、信者さんが持ち帰る弁当を自ら手作りした。
健さんは「妻の人柄が影響したのか、教会の雰囲気も明るくなった」という。
一方の冴美さんも「教えを実践する夫の姿を見ることが、自分自身を振り返るきっかけになっている。私も夫のような通り方ができるようになりたい」と語る。
3月18日に臨んだIBF女子世界アトム級タイトルマッチは、10ラウンドを戦い抜いた末の「引き分け」。世界王者のまま有終の美を飾り、ボクシング生活を終えた。
一番近くで応援してきた健さんは「審判員を務める私でも、極限まで自分の身体と向き合ってタイトルマッチに臨む妻の姿を通じて、ボクシングは、お借りしている身体を存分に生かす競技なんだと教えられた気がする。妻はまだ信仰者としての一歩を踏み出したばかり。少しずつでも、共に教えを実践できるようになりたい」と話す。
5月から修養科を志願予定の冴美さん。「ボクシングは、自分を追い込むことを求められる競技だが、その一方で、自分を大切にできないと、けがをしてしまい、決して強くなれない。自分の身体を大切に使わせていただくという部分では、お道の教えにも通じるものがあると感じている。これからは夫を支えながら、お世話になった方へ恩返しができるような人生を歩んでいきたい」と、第二の人生への抱負を語った。