ようぼく百花 – 東京のラーメン店「Ramen FeeL」店主 渡邊大介さん
「最高の一杯で、この人を喜ばせたい」
「お客さんの今日一日が幸せになるような最高の一杯を提供したい」。東京都青梅市の静かな街で暖簾を掲げる「RamenFeeL」の店主・渡邊大介さん(30歳・本理棟分教会棟渡布教所ようぼく)が最も大切にしているコンセプトだ。
午前5時、仕込みが始まる。具材の鶏肉は、必ず当日に火入れをする。器はもちろん、レンゲもランプウオーマーで温める。一杯のラーメンに徹底的にこだわり、手間を惜しまない。
小学生のとき本理世団本芝房鼓笛隊に入隊。飯降伊蔵や増井りんなど子供向けの先人の本を読み、真実の行いの尊さを知る。「お道の先人がなされたように、ほかの人がやりたがらないことをあえてすることが、人を喜ばせることにつながる」と語る。
性格は「一つのことに没頭するタイプ」。高校進学後も鼓笛隊スタッフを務めながら、スネアドラムの練習に明け暮れた。卒業後はアメリカのドラムチームに所属した。
この経験が今の仕事につながった。海外では好物のラーメンが気軽に食べられず、美味しいラーメンを作りたいとの思いがふつふつと湧き上がった。
手間を惜しまず感謝の心で尽くす
帰国後、神奈川県湯河原町にある名店「らぁ麺飯田商店」の飯田将太氏に弟子入り。寸胴の洗い方から厳しく仕込まれた。
食材の仕入れ先には、飯田氏と共に足を運んだ。丹精込めて食材を育てる生産者の思いを知るためだ。一杯のラーメンに関わるものすべてに感謝する、ラーメン作りの神髄を学んだ。
忘れられない出来事がある。末期がんの患者が人生最期の外食のために飯田商店を訪れた。このとき、渡邊さんが盛りつけを担当した。「この人の最期の外食に携わるんだと思うと、言いようのない感情が込み上げた。最高の一杯を作るために、いままでにない使命感で最善を尽くした」。一杯のラーメンを提供するとは何たるかを、身をもって知った。
4年4カ月の修行を経て、2月末に飯田商店から初となる独立を果たす。「Ramen FeeL」の一日の販売数は90杯。お客さん一人ひとりの顔を見て、そのバックグラウンドにまで想像を巡らせる。手間を惜しまず、感謝の心を込め、いまできることにすべてを尽くす。
「最高の一杯で、この人を喜ばせたい」。オープン以来、連日完売が続いている。
「お客さん全員に何がなんでも喜んでいただくための心づかいを大切にし、日本一のラーメン店を目指したい」
プロフィール
1991年、埼玉県入間市生まれ。信仰2代目。高校卒業後、世界大会最多優勝のインドアドラムラインチーム「Music City Mystique」などに所属。5年間、卓越したドラムの技術で本場の観客を沸かせた。
帰国後に修養科を志願し、新たな道へ。飯田商店は、グルメ情報サイト「食べログ」のラーメン部門で全国トップ。業界最高権威の「TRYラーメン大賞」で4年連続の大賞に輝き、殿堂入り。
「静かな場所で存分にラーメンを味わってもらいたい」と、布教所のある郊外の青梅市内で開店。10人の従業員には、お客さんに少しでも喜んでもらうための“手間を惜しまない精神”を伝えている。
渡邊さんが実際にラーメンを作る様子をご覧いただけます。